【ヤマコウの時は来た!】

 ◆8R 前検日に取材した村上義弘の動きだが、外から見る限り付いていくことに問題はなさそうだ。ただ揉まれる展開になるとまだ苦しいと感じた。

 そして度重なるけがからはい上がろうとする選手がここにもいる。福島の成田和也だ。14年から2年間で鎖骨骨折を5回。14年3月名古屋日本選手権から次のG1・15年9月松戸オールスターまで1年半。さらに骨折で16年はG1出場を逃した。数々のタイトルを取り、確固たる地位を築いた選手として相当苦しい3年間だったろう。

 その気持ちも北日本の選手はくみ取っていた。印象に残るレースは15年の平塚G3の決勝だ。新田祐大が前を取って突っ張り先行。優勝は村上義弘だったが、新田は久しぶりにG3の決勝に乗った成田にエールを送ったと私はみている。

 今年は取手全日本選抜も出場し、徐々に活躍の場が増えてきた。それでも「この3年間は悔しいの一言です」とかみしめるように話してくれた。「走る度に歯がゆい。今日(初日)のレースでも直線もっと鋭く伸びなければいけない」と過去の自分とのギャップに苦悩していた。

 成田の存在は、彼が思っている以上に自力選手の勇気となっている。新山響平に乗って3月の大垣G3を優勝した小松崎大地も「お前たちは北を代表する自力型。並びは自分たちで決めろ」という成田のひと言で気合が入ったとコメントしていた。

 8Rは吉田拓矢と渡辺雄太の先行争いが焦点となる。しかし新田も青龍賞で見せた仕掛けは、いつになく早かった。成田が番手に付くことによって早めの仕掛けが予想される。成田の連勝に期待する。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)