【栗田文人・車券放浪記】

 ◆11R:準決 武田豊樹が復活する。青龍賞は前受けからいったん突っ張り、たたいて来た新山響平の番手で粘っておいてその後位を確保。最終2角で前が内をあけるとすかさず突っ込む縦横無尽の戦いだった。結果は7着ながら勝利への執念が十分に伝わってくる内容で、「気持ちは出せた。状態は(前場所の)函館よりかなり良くなっている」と好感触。

 準決は新田祐大の脚力がずばぬけている。ただ、武田を中心に前後を弟子の吉沢純平と牛山貴広が固める茨城ラインは結束力で上回る。さらに志村太賀が後ろを固めるという朗報も届いた。吉沢は「4車は大きいですね」とほおを緩めた。その吉沢も2予で前をたたくと見せかけて4番手に入り、そこからまくり切る器用さを披露。「初日は力み過ぎたけど、2日目は良かった」と確かな手応えを感じていた。

 菊地圭尚が単騎を選択したことで、新田は最終的に8番手が濃厚。そこからワールドクラスのパワーでまくってくるのは必至だ。だが、番手の佐藤慎太郎は2日続けて新田の3番手で離れ気味になっている。番手にはまる想定に関して根田空史は「あまり考えない。自力で」。対して吉沢は「それもいいですね」とニヤリと笑った。

 もちろん新田の仕掛けが遅ければ吉沢は根田との力勝負に出る。いずれにしても、展開はその番手に向く。G1初優勝(09年・日本選手権)GP初制覇(14年)高松宮記念杯V(15年)の実績がある得意の岸和田バンクで、武田が再び輝く。3連単(7)=(5)から(3)(4)(1)と、(7)=(3)から(5)(4)(1)。