【ヤマコウの輪界見聞録】

 年が替わってG3も2戦目を迎えた。初戦は平原康多が優勝。GP王者浅井康太とはハングリーさが違ったように見えた。昨年後半戦、思うように勝てずに苦しみ、そして挑んだ18年最初の立川G3。平原のレースは組み立てに迷いがなかった。対して浅井は、GPを優勝したばかりで、レースから常に迷いを感じた4日間だった。その差が決勝に表れたと思う。

 ハングリーという点でみれば、12Rの三谷竜生と村上義弘も同じ気持ちだろう。特に竜生は、GPの位置取りで平原に負けてはいけなかった(最終ホームの主導権は深谷知広ライン、その後ろに平原ライン、竜生はその後ろとなった。新田祐大ラインは8番手)。誰もが新田の前攻めと思った。しかしまさかの後ろ攻め。新田は気が付いたら8番手になっていたというところか。

 どの選手も予想外の周回でレースは進んだ。私は、あのレースのポイントは、新田が深谷を押さえに行った残り2周だったと考える。内に詰まるのを嫌って深谷は下げた。そこですかさず平原が前の三谷をたたいて先頭に出た。ここだったと思う。

 竜生はここで不意を突かれたようにあっさり平原を出させた。「平原さんが抑えに来たのは分かったが、まだ(突っ張るのが)早いかな…と迷ってしまった」と振り返った。位置取りで負けた竜生は、当然のように深谷をたたきに行った。私はそこが読めなかった。GPなので一発を狙って最後まで待つと思った。竜生にとって、GP出場は結果であって、こだわるものではなかった。

 なら、このレースは読みやすい。竜生が先行して村上が有利に運ぶ。(日刊スポーツ評論家・山口幸二)