屋外で選手がウオーミングアップするスペースに喫煙所がある。初日はポツポツと常連組が吸っていたが、2日目から負け戦を中心とした選手の喫煙量が増えるので、日に日に多くなる。その横に私が立っていると伊藤裕貴が近寄ってきて「この雰囲気、むちゃくちゃやさぐれてないですか?」と半笑いで話しかけてきた。ふと見ると輪の中心に湊聖二がいて、伊藤颯馬や井上昌己、阿竹智史がいる。よくこれだけ「こわもて」の選手が集まったもんだなと思ったら笑えた。

ヤマコウは高いレベルの走りを求める松浦悠士に注目
ヤマコウは高いレベルの走りを求める松浦悠士に注目

準決は松浦悠士を取り上げる。2予のレースを振ると、開口一番「クソでしょ。ファンはイン突きの3着を求めているんじゃない。自力の1着を求めている」と吐き捨てるように言った。「でも、残り1周で仕掛けているし、合わされた後、よく3着まで食い込んだね?」と聞くと「最低でも2センターから(和田)真久留の外を行かないと」と反省しきりだった。求めているレベルが高いので、準決行きを決めても表情は硬かった。

その松浦が、今度は後ろに清水裕友を連れて、門田凌の番手を回る。門田に先行の無理強いはしないが、どんな展開になっても清水とワンツーを狙うだろう。ラインができる自力選手は、今節動きが光る選手ばかり。門田も2人の前を回る以上、先行しか考えていないと思う。中四国勢をまくる古性優作、岩本俊介だが、ここを越えるのは至難の業だ。古性はインコースを突くことも考えていると思う。ファンが求めていることを考えて、今日も松浦は走る。(日刊スポーツ評論家)