20年競輪の総決算となるKEIRINグランプリ(GP、30日・平塚)まであと3日。その前に、年末恒例の中野浩一氏(日刊スポーツ評論家)の激辛コラム「ザ・提言2020」をお届けします。全3回で、コロナ禍で大きな転換期を迎えた競輪界、そして選手に熱いメッセージを送ります。

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今回のコロナ禍で競輪界は大きな転換期を迎えた。今こそ原点に戻り、競輪とは誰のためにあるものか、競輪はどういう方向に行くべきかを考え、発信すべきだろう。

例えば選手たち。一体誰のために走っているのかを考えてもらいたい。選手のコメントを聞くと、負けても「ラインで決まって良かった」と言う。先輩のために走るのか? それでは選手控室の方しか見ていない。1着を信じて車券を買うファンのために走るのではないのか。

そしてもう1つ。私は競輪のトップレーサーが「もっとプロの選手として認められるように」と願ってやまない。私が現役当時、高校で自転車競技をやる人間は「ゆくゆくは競輪でたくさん稼ぎたい」と話すものだった。だが今は、高校や大学では「もう自転車はやめて就職します」という声が多いと聞く。

競輪選手が、未来ある若者の受け皿にならないといけない。その意味で東京オリンピック(五輪)はチャンスだ。結果を出して自転車、競輪をアピールしたい。魅力ある競輪界へ。そのためにも選手、団体が未来の方向性を示す時だろう。

昔からピンチはチャンスという。競輪が誕生して七十数年。機材も変わり、競輪はスポーツ性を追求したルールによる「ケイリン」にもなった。そのケイリンは「250競輪」として逆輸入もされる。そんな今こそ、競輪界も変わる時だ。

さあグランプリ。9人には最後にいいレースだったと思わせる走りを期待する。(おわり)