新女王の高木真備(27=東京)が、4R終了後に行われた21年ガールズグランプリ(GP)の優勝報告会で、突然「引退」を発表した。

「競輪選手を引退することに決めました。たくさんの方に応援していただけて、すごい私の競輪人生は幸せだったなと思っています」。集まったファンが驚く中、高木は言い切った。

ずっと思い描いてきたガールズGP制覇の夢。14年5月のデビューから7年半かけて昨年末、5度目の挑戦で成し遂げた。しかし、新女王として迎えた今年は肉離れや腰痛にも悩まされ、宇都宮ガールズケイリンコレクション(6着)を含めて5場所走っただけ。優勝は1度もなかった。

「これまで10年近くもガールズGPで勝つことを目標に、競輪と向き合ってきました。目標を達成したことで、気持ちが切れてしまった。その後も我慢して走ったけれど、自分から買ってくれるお客さんの期待を裏切ることに、自分が耐えられませんでした」。3カ月間、自問自答を繰り返し「引退」という決断に至った。

かねて興味があった保護犬、保護猫に関わる活動を次のステップとして計画中だ。今後の出走予定はなく、3月29日の川崎最終日が最後のレースとなった。「実質のラストランは川崎でしたけど、自分の中ではガールズGPが最高の終わりだったって思っている。競輪人生のゴールだったって、皆さんにも思っていただければうれしいです」。史上初めて女王のまま引退した高木は晴れやかな表情だった。

 

▽優勝報告会での高木真備のコメント 「競輪選手を引退することに決めました。私にとって(ガールズ)グランプリが一番の目標で、達成できて競輪人生に悔いはないなと思うことができました。つらいことも楽しいこともたくさんありましたが、そのたびに皆さんに支えていただいて、喜んでいただけてうれしかったです。今後の糧になると思うので、これからの財産にして頑張っていきたいと思っています。今後は、保護犬と保護猫を助ける活動をずっとしたいと思っていたので、そのことを実現できるように精いっぱい頑張りたいと思います」。

 

◆高木真備(たかぎ・まきび)1994年(平6)8月17日生まれ、東京・町田市出身。文化学園大杉並高卒。中学からハンドボールを始め、3年時の09年ジュニアオリンピックカップ3位。競輪学校(現競輪選手養成所)106期在校2位で、14年5月に奈良でデビュー(52(2))。ガールズ特別レース優勝は16年松戸、20年伊東ガールズケイリンコレクション、17年いわき平ガールズドリームレース、20年同ガールズケイリンフェスティバルと21年静岡ガールズGP。通算616戦379勝。161センチ、63キロ。血液型A。愛称はマキビ、マキビーム。