攻撃の幅を広げたい。Jリーグ公認データ「J STATS」によると、今季のJ1新潟はクロス数が前節終了時点で1試合平均9・1本とリーグ最少。成功率も最低の10%にとどまる。クロスからの失点が7点を数える一方で、セットプレーを除いたクロスからの得点はまだない。

もちろん、その少なさは新潟のスタイルにおける特長の1つで、チームとして大きな問題になっているわけではない。だが、相手守備網を左右に広げ、MF伊藤を中心とした中央突破の効率を高める意味でも、サイド攻撃は質量ともに磨きをかけたいところ。昨季はMF本間至恩(現クラブ・ブリュージュ)がサイドから内に切れ込むだけでなく、縦への突破からのクロスも威力を発揮。リーグ全体にも強烈なインパクトを残した。

7日の柏戦では今季最多13本のシュートを放ちながら無得点に終わった。それでも、クロスからチャンスをつくり、後半6分にDF藤原が相手の意表を突くタイミングで鈴木へ、同33分にはMF高木の左からのクロスを鈴木がヘッドで合わせた。今季はこうした形でのゴールがない中でもJ1の舞台で堂々と戦っている。クロス数の少なさは、見方を変えれば、チームとしての「伸びしろ」がまだあるということか。【石川秀和】

右サイドを突破してクロスを上げる松田(2023年4月1日撮影)
右サイドを突破してクロスを上げる松田(2023年4月1日撮影)