19歳のFW藤野あおば(日テレ東京V)が、素晴らしいゴールを決めたね。個人技と瞬発力で相手を1人かわして、角度のない位置からニアサイドをぶち抜いた。日本のW杯史上、10代選手の得点は男女を通じて初めてだという。でも年齢で騒ぐのは、日本くらいじゃないかな。相手のコスタリカだって16歳のMFスコットが出場していたしな。年齢じゃなくプレーで評価すべき。その中で、藤野のあのゴールは確かに素晴らしかった。

でもこの日のプレーに限れば、藤野の見どころはあのゴールだけだった。前半15分にはMF猶本のシュートのこぼれに、右から入ってきて当て損ねた。大外からDF清水が走ってきていたから、藤野が流していれば、先制点が決まる場面だった。視野が狭かったね。あえて言うよ。10代の得点だとかチヤホヤするより、冷静にプレーを分析し、正確に現状を伝えた方が今後の成長につながるだろう。

日本は2戦2勝だが、相手はザンビアとコスタリカだ。ここも冷静に考えてほしい。今大会から出場チーム数が24から32に増えた。優勝した12年前は16チームの大会だった。今回、日本が勝った2チームは前回までならW杯の舞台にも立てなかったチームだろう。

コスタリカは前半で2点を取られても後半、攻めてこなかった。ザンビアは被シュート数0本だ。とてもW杯の戦いとは思えない。1次リーグ最終戦のスペイン戦からが、真のW杯になる。攻めてくる相手に、どう対応するか。命懸けのW杯、本来の戦いは、これからが本番だ。(日刊スポーツ評論家)

ゴールを決め喜ぶ藤野(ロイター)
ゴールを決め喜ぶ藤野(ロイター)