森保ジャパンが金メダルに王手をかけた。サッカー男子の準決勝で20年東京オリンピック(五輪)世代のU-21(21歳以下)日本代表がU-23UAE代表に1-0で勝ち、決勝進出を決めた。後半33分に途中出場のFW上田綺世(20=法大)が決勝ゴールを決め、森保一監督(50)の期待に応えた。2大会ぶりの優勝をかけ、1日の決勝はオーバーエージ(OA)枠でFW孫興民(トットナム)らを擁するU-23韓国代表と対戦する。

拮抗(きっこう)した試合にけりをつけたのはまたも上田だった。後半19分にFW旗手に代わって出場したあとの同33分。ペナルティーエリア内でフリーになり、MF渡辺からパスを受けた。「得点能力だけは誰にも負けたくないですし、負けているとも思っていない」。迷わず右足を振り抜いて放ったシュートはクロスバーに当たり、そのままゴールへ吸い込まれた。唯一のチャンスを鮮やかに仕留め「じれやすい展開だったが、冷静にやることだけだった」。28日に20歳の誕生日を迎え、うれしいバースデー弾となった。

決勝トーナメント1回戦のマレーシア戦でも途中出場で終了間際に自ら獲得したPKを成功させた。「プロの練習参加でも、ポゼッションは下手ですけど、シュートでは絶対に負けたくないという気持ちでやっている」。チームで5人いる大学生のうちの1人。「いつもチャンスを作ってくれる」と話す森保監督の期待に、再び応えてみせた。

練習の虫だ。日々の練習後もシュート練習を欠かさない。好きな選手はコロンビア代表FWファルカオ。何度でもゴールに向かう得点への執着心が魅力的に映る。「システムとか関係ない。FWは点を取ることがすべて」と結果にこだわる。異常なまでの得点へのこだわりは、勝負強さとなって表れた。

決勝は日韓戦となった。U-23世代で臨む韓国は優勝を条件に21カ月の兵役が免除となることもあり、プレミアリーグのトットナムFW孫興民、ガンバ大阪FW黄義助(ファン・ウィジョ)らA代表の主力級がキャリア存続をかけてOAに名を連ねる。最大の難敵だが、上田は「相手が誰だろうが関係ない。相手はOAを使っているが、負ける気がしない」と言い切った。決して多くはないだろう好機を決めてくれる選手が日本にはいる。【岡崎悠利】