U-22(22歳以下)日本代表がカタール、UAE(アラブ首長国連邦)遠征を終え14日に帰国した。前日13日のU-22ウズベキスタン戦は0-0。攻撃陣の決定力不足が響き、10日のU-22イエメン戦から2試合連続スコアレスドローに終わった。来年1月12日開幕のU-23アジア選手権(兼リオデジャネイロ五輪アジア最終予選、カタール)に向け不安を残す中、日本協会は予備登録メンバー50人を公表。その中から18日に発表される最終登録メンバー23人を予想した。

 最終予選の1次リーグ初戦(来年1月13日、対北朝鮮)まで1カ月を切った。手倉森誠監督(48)が就任してから2年。初陣のU-22アジア選手権(14年1月、オマーン)から国際試合19戦、練習試合11戦を強化とテストに充ててきた。予想は、同監督が仙台時代から基本陣形とする「4-4-2」システムで行った。

 「あとは俺の目利き、鼻利き。シェフとして、どう素材を組み合わせるか」。遠征後、そう話した指揮官の中で守備陣は固まっている。A代表を兼ねる主将MF遠藤や手倉森ジャパン出場時間1位のDF植田(計1420分)ら、ボランチと4バックは当確が多い。就任以降「まず守備」と言い続けた。国際試合7戦連続完封中の強みでもある。

 一方で最後まで頭を悩ませるのが前線だ。最後のピースを探った今回の中東遠征。ともに五輪1次予選を2位通過の格下イエメンとウズベキスタンから1点も取れなかった。最終試験と位置付け、スタメン発表など公式大会と同じ手順で試合に臨ませたウズベキスタン戦も決め手を欠いた。身体能力に期待されたオナイウは前半だけで交代。クラブW杯で最終予選絶望の大けがを負った広島野津田に代わる右MFも、関根と前田の痛み分けに終わった。クロスバー直撃など惜しいシュートを打てたのは常連の鈴木と矢島だけだった。

 「得点のにおいがしなかった。必要以上に交代カードを切ってしまった」と苦い表情で帰国した監督は、約10時間のフライト中もメンバー編成のことが頭から離れなかった。成田空港の到着ロビーで「各ポジション2人の原則を崩す、攻撃に比重を置いた選考になるかもしれない」と示唆。攻撃陣の再考に頭を抱えた。

 日本協会はこの日、最終予選の予備登録50選手を公表した。中東遠征した26人と広島の浅野、海外組の久保、南野が「コア(核)」メンバーで、ほかの国内組が「バックアップ」と分けられている。土壇場で入れ替えはあるのか。6大会連続の五輪出場を託される23人は18日午後2時、手倉森監督の口から発表される。【木下淳】

<U22担当木下記者が予想した五輪最終予選メンバー>

○2トップ

 19歳の時にリオ世代で初めて海外に渡った久保、今季のベストヤングプレーヤー賞に輝いた浅野、中島に次ぐ12得点の鈴木の選出は間違いない。スケールが大きい19歳の鎌田は有力、日本人とはバネが違うオナイウも手元に置きたい。50メートル5秒台の快足、伊東純が大穴だ。

○サイドハーフ

 最激戦区。左はA代表も兼ねる海外組の南野、公式戦最多13得点の中島が当確。1次予選のレギュラー豊川も控える。右はキッカーを任される矢島の安定性が高い。浦和で今季6得点の関根と松本で進化した前田が追う。

○ボランチ

 早生まれの主将遠藤と副主将大島が盤石。14年1月に手倉森ジャパンの公式戦1号をマークした原川も有力だ。最年少の井手口も手倉森監督が18歳の時から目をかけている存在。今季、磐田で成長した川辺の逆転選出もある。

○センターバック

 11年U-17W杯8強メンバーの植田と岩波は、評価は揺るぎない。今冬の移籍市場で人気の奈良も2人と遜色ない能力を持つ。西野はG大阪で定位置をつかんでいるが、攻撃陣の人数を増やした場合に選外となる可能性がある。

○右サイドバック

 右は唯一の大学生、室屋が確実。実力はA代表経験者の松原がNO・1だが手術した右膝の状況による。プレーできなくなった場合は伊東幸が繰り上がる。

○左サイドバック

 左サイドバックは、利き足左で攻撃面に特長を持つ山中、湘南から福岡に移籍してJ1昇格の立役者になった亀川で堅い。

○GK

 櫛引、中村は当確。早生まれでリオ世代の正GKを張ってきた櫛引を、福岡のJ1昇格に貢献した中村が猛追する。3人目は、盛り上げ役の杉本か最長身195センチの牲川。