サッカー日本代表DF長友佑都(29=インテルミラノ)がプライドにかけ、シリアをたたいての1位突破を誓った。24日のW杯アジア2次予選でアフガニスタンに5-0で勝ち、29日のシリア戦(埼玉)の結果に関係なく、最終予選進出が決まった。一夜明けた25日、最終予選の戦いを見据えて「日本とは勝負したくないというぐらい、圧倒した試合をしないといけない」と語気を強めた。

 ファン約150人が見守る中、前日先発した長友はFW岡崎らと軽いランニングを行った。時に談笑しながらも、キリッとした顔つきで黙々と体を動かす。20分ほど走ると、今度は室内に入って疲労回復のメニュー。シリア戦に向けて着々と準備を進めた。

 前日の勝利で、29日の試合に敗れてE組2位に終わった場合でも、各組2位の成績上位4チームに入ることが確定し、最終予選への進出条件を満たした。だが長友の心は満たされていない。練習後に「1位通過じゃないと突破したという感覚にはならない。次の試合が本当に大事になるし、1位通過じゃないと僕たちのプライド的にも」と話した。

 シリアには昨年10月8日に中立国オマーンで第1戦を戦い、3-0で勝利を収めている。前がかりでプレッシャーをかけられ、前半は難しい状況に陥り、最終予選に勝ち上がるだけの力を持ったチームと印象を受けたという。だからこそ、こう語気を強める。

 「ここでしっかりたたいておかないと最終予選でも当たる可能性がある。日本とは勝負したくないというぐらいの、圧倒した試合をしないといけない」

 そんな長友の思いは、図らずも最終予選を見据えたチームの思惑とも重なってくる。日本は現在FIFAランク56位でイランに次ぐアジア2位。この地位を死守すれば、4月12日にマレーシアで行われる最終予選の組み合わせ抽選で、上位2チームに与えられる第1シードに入る。日本にとってイランとの同組は最も避けたいところ。標高1200メートルで高温乾燥地帯の過酷なアウェー戦であり、不安定な政情も重なる。ただ57位の韓国が僅差の3位につける。その韓国が27日のタイとの親善試合に勝てば、29日の結果を待たずして順位は入れ替わるのだが。

 そんな背景を知ってか知らずか、長友は「(シリアが)今回良い勝負ができて自信をつけた時、日本だったら出来るぞという自信が大きなエネルギーになる。だからしっかりたたいておかないといけない」。あらためて「たたく」と強調した。【青木沙耶香】

 ◆ポイント状況 国際サッカー連盟(FIFA)公式サイトの計算式によると、日本がシリアに勝利した場合、ポイントが「575」から「577」に上がり、引き分けると「552」、敗れると「539」に下がる。だが27日に韓国がタイとの国際親善試合に勝利すると、韓国のポイントが「566」から「579」に上昇し、日本を上回る。韓国がタイに引き分けた場合は「569」、敗れると「563」となり、日本が勝てば上回る。日本が「第1シード」に入るには、シリア戦の勝利が最低条件。かつ韓国が引き分け以下に終わる他力しかない。次回のランキング発表は4月7日。