<コンフェデレーションズ杯:チリ1-1オーストラリア>◇1次リーグB組◇25日◇モスクワ

 B組はドイツが1位、チリが2位で28日(日本時間29日)、29日(同30日)の準決勝進出を決めた。アジア代表のオーストラリアは1-1でチリに引き分け、1次リーグ敗退となったが、果敢な戦いぶりで南米王者を苦しめた。8月31日のW杯アジア最終予選で日本と対戦するオーストラリアについて、宮沢ミシェル氏(日刊スポーツ評論家)が分析した。

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 スタンドから見ていて、正直オーストラリアに恐怖を感じた。前線からのプレスには迫力があった。試合前日、FWケーヒルは「時代が変わった。我々はフィジカルからポゼッション(ボールをキープしながら主導権を握る戦術)に変えている最中だ」と話していたが、肉体的に優れた選手たちにポゼッションサッカーが浸透すると、どれだけ脅威か、ということを実感させられた。

 南米王者チリはオーストラリアの変貌ぶりに面食らっていた。攻め一辺倒ではない。チリにボールを支配された時間帯には、両サイドの選手がポジションを下げて5バック気味になる。ボランチも最終ラインに吸収されるまで下がってスペースを埋めた。しかし、守り一辺倒でもない。ボールを奪うと何人もの選手が連動して一気に前に駆け込んでいた。破壊力は十分。このサッカーをやられると、日本は勝てないと思った。

 この日の気温は17度で、湿度も低く、長袖の私が肌寒いと感じる気候だった。だからオーストラリアは90分間、動けたのかもしれない。日本戦は8月31日。高温多湿の日本の気候に耐えられるかは分からない。地の利を生かせば、日本にも勝つチャンスがある。

 しかし、今までのような戦いでは、その確率は格段に下がるだろう。これまでのような、きれいなサッカーでは通用しないとみる。パスが通らないことを覚悟でオーストラリアのDFラインの裏にどんどん縦パスを入れて、相手に裏を意識させてもいい。まず守備から入って、ポゼッションを完全に捨てる覚悟で、カウンターの1発狙いでもいい。コンフェデレーションズ杯でレベルアップした相手を崩すには、今までにない戦いで、とにかく揺さぶっていく必要がある。