サッカー日本代表は27日、W杯アジア最終予選オーストラリア戦(31日、埼玉)に向け、さいたま市内で始動した。MF長谷部誠(33=フランクフルト)は、3月の合宿で途中離脱して右膝の手術を受け、約5カ月ぶりの合流。オーストラリアは難敵だが、長谷部の出場試合に限れば6戦無敗。勝てば18年W杯ロシア大会出場が決まる大一番を前に、日本の精神的支柱が戻ってきた。

 長谷部はドイツから羽田空港に帰国。「いよいよって感じです。これから4日間、良い準備をしたいですね。途中離脱したりしてチームに迷惑をかけたりしたので、ここでしっかりと、また日本代表のチームに貢献できるようにという思いは強いです」と復帰戦への思いを明かした。練習前にはハリルホジッチ監督に呼ばれ、ピッチ上で約10分間の個別ミーティング。練習が始まると、ランニングから先頭で引っ張った。

 復帰過程で、横浜FCのFWカズから背中を押された。一時帰国中だった6月23日、香川、長友ら海外組を誘い、長谷部が発起人で「4カ月遅れのカズ50歳誕生日会」を都内で開いた。当時はカズも左膝を痛め離脱中で「僕も頑張りますが、ハセは日本国民のためにリハビリしてW杯切符をつかんで」と激励された。自分のためだけでなく、「日本国民のために」と言われ、W杯出場がかかる大一番を強く意識させられた。

 3月11日のバイエルン・ミュンヘン戦で右膝軟骨を損傷。直後の合宿に招集されたが、代表スタッフと相談の上、W杯予選欠場を決断し、手術を受けた。7月に第1子誕生でも力を得ると、今月12日のドイツ杯で約5カ月ぶり復帰。同20日のリーグ開幕フライブルク戦、26日のウォルフスブルク戦と公式戦3戦連続フル出場。オーストラリア戦での先発出場の可能性も高まってきた。

 代表で試合復帰すれば昨年11月15日のサウジアラビア戦以来、約9カ月半ぶり。W杯予選や本大会では鬼門のオーストラリア戦だが、長谷部がピッチに立てば6戦負けなしの心強いデータもある。勝てば6大会連続のW杯切符を獲得する。頼れる主将が、国民の期待を背負ってピッチに戻る。【鎌田直秀】