なでしこジャパン(FIFAランク11位)が中国(同17位)に3-1で快勝し、アジア杯2連覇へ王手をかけた。前半39分に先制後、後半28分から途中出場したFW横山久美(24)が2得点を挙げる活躍を見せて突き放した。20日の決勝では1次リーグ第3戦で1-1の引き分けに終わったオーストラリア(同6位)と再戦。なでしこの誇りとプライドをかけ、最終決戦に臨む。

 横山が鬱憤(うっぷん)を晴らすように大暴れした。後半28分に途中出場し、与えられた時間は約20分。それだけで十分だった。40分にゴール前でパスを受けると「フリー過ぎたので、いこうと思っていた」。すぐに右足を振り抜き、ゴール右隅に突き刺した。43分には自らのシュートが相手のハンドを誘いPKを獲得。しっかり沈め、期待に応えた。

 我慢の大会だった。1次リーグ初戦のベトナム戦で先発し、チーム大会初得点を決めるなどフル出場で勝利に貢献。しかし、次戦の韓国戦は後半開始からの出場を伝えられていたが、出場は最後の4分間のみ。オーストラリア戦は出番がなかった。「(中国戦も)いつ出るかわからなかった。でも集中して入れたし、守備で頑張ろうと思っていた」。縦横無尽に動き回り、自身1点目を決めた際には真っ先にベンチに走った。「試合に出られなくてみんなが気にしてくれていた。チームみんなで喜びたいと思って行きました」。もみくちゃにされ笑顔が戻った。

 この日はベンチから戦況を見守ったDF鮫島は「途中から出る人の活躍はチームの団結力を高める。あれだけの時間があれば彼女は絶対結果を出すと自分たちには確信があったし、『頼むよ』と伝えていた」と明かす。横山は後半45分にペナルティーエリア内で相手を倒してPKを与える場面もあり「失点は自分のせい。そこは反省かな」と振り返った。

 チームは日増しに結束を深め、残すはオーストラリアと再戦する決勝のみ。「前回出てないので、相手は自分のプレーをわかってないと思う。出たらゴールを狙うだけ」。一皮むけた横山が、チームをアジア2連覇へと導く。【松尾幸之介】