森保一氏(49)が26日、サッカー日本代表の新監督に就任した。20年東京オリンピック(五輪)の男子日本代表監督と兼任する。A代表と五輪代表の監督兼任は、00年シドニー五輪と02年W杯日韓大会のトルシエ氏以来となる。都内で就任記者会見を開き、主な一問一答は以下の通り。

 --監督就任を聞いたのはいつごろか。正式に決まってどんな思いか

 森保氏 正式に決まったのは今日です。そして私の意思確認というか、打診をいただいたのは、日にちは忘れましたけど、技術委員会が終わって、関塚さんから話をいただきました。多数の候補の中の意思確認ということで、それからずっと時を過ごしてきましたが、今日正式に話をいただき、即決で決めさせていただきました。それまでも自分の考えをまとめたり、家族とか、いつも相談している人とかに少し相談したりとかはありました。気持ちとしては重責だなということ。東京五輪の代表ということだけでも重責だと思いますけど、さらにA代表、これは自分にできるのかなと思いますが、これをやることで日本サッカーの発展につながるということ、これは大変な仕事ですけど、日本サッカー界のためになるなと思いました。自分ひとりだけでやるのであれば、不可能だと思います。でもここにおられる2人(田嶋会長、関塚技術委員長)をはじめ、日本サッカーを支える方々にも力を貸してもらえれれば必ずやっていけるといことで話を受けさせていただきました。気持ちとして、うれしいという気持ちは一切浮かびませんでした。覚悟をもってやれば必ず成し遂げられると、そう自分の中に思って話を受けさせてもらいました

 --W杯ロシア大会を経て、日本サッカーに必要なこと。どんなチームにしていきたいか。

 森保氏 もちろん全てのレベルアップをしていかなければいけないと思います。個のレベルアップはしていかないといけないですし、日本の良さである部分もすべてに磨きをかけていたかないといけないと思います。世界はどんどん進化していっていますし、世界に追い付け追い越せでやっていかないといけない。

 --世代交代という話が出たが、今、ベテランと呼ばれている選手たちのことをどう考えているのか

 森保氏 選手選考に関しては、言葉ありきではなくて、やはりこの世界、競争があると思いますし、魅せられる選手、走れる選手、実力のある選手が生き残っていく世界だと思ている。世代交代は大事だが、年代間の融合をうまく図りつつ、新しい日本代表をつくっていきたい。

 --来年はアジア杯もある。この大会はどう位置付けているか

 森保氏 日本の力を示すため、経験値を上げるためには非常に重要な大会。ただ、その大会に向けての選手選考、どうやって戦うということは、まだ今日就任させていただいて、まとまっていない部分ありますので、これから国際Aマッチデーの各試合を通して、どういう風に選手を使っていくのか考えながらやっていいたい。

 --W杯ロシア大会での戦いを踏まえ、日本代表監督として大事にしたい部分、肝になる部分は何になるのか

 森保氏 ロシアのW杯にコーチとして帯同させてもらって、一番強く感じたのは、日本人のメンタリティーと身体能力を生かしていくことは大切だなと思いました。海外から学ぶことはたくさんあるが、日本人の身体能力、メンタリティーを生かしてチームづくりをすることが大切だと感じています。そして、一体感のあるチームづくり、常に攻守共に連携、連動して戦うということ、そのチーム作りは絶対やっていきたいなと思って、これからにつないでいきたい

 --日本のメンタリティーとは具体的には

 森保氏 みんな自分が成功したい、試合に出たい、いろんな自分がという部分はもっていると思うが、お互いを尊重してチームの結果のために絆を持って戦っていこうというメンタリティーはロシアのチームをみてすごく感じた。そういったところは大切にしていきたい。

 --「年代間の融合」という言葉の具体的なイメージは

 森保氏 世代交代は必ず必要になってくると思っています。ただ、ベテラン選手を招集しない、若い選手を経験させるという意味で入れ替えるのではなく、やはり経験を積んだベテラン選手たちのもっているものを経験の浅い選手に伝えてもらうということをA代表でやる。そしてまたさらに下の年代から東京五輪の代表に引き上げて融合するということ。今回はA代表と五輪代表だけの話をさせてもらっていますが、A代表と五輪代表、そして五輪代表とその下の代表がちょっとずつ融合できるのではないかということで、「世代間の融合」とご案内させていただきました。

 --森保監督が新たに加えたい森保イズム、どんな戦術を加えたいか

 森保氏 まずは速攻もできれば遅攻もできるということ。守備ではハイプレスもできれば、自陣でしっかり固めて相手の思ったような攻撃をさせないといったようなこともしていきたいと思います。いろんな対応力をもって戦っていくということ。臨機応変に流れをつかむためにどうしたらいいかをできるように。選手が判断して選択できるようなサッカーをやっていきたいと思います。対応力と臨機応変。そこは西野監督も言っていましたが、もっと磨いていかなといけない。W杯で優勝したフランスもそういう戦い方をしていたと思います。準決勝で日本代表が負けたベルギーに対して、先制後にしっかり守備を固めながら、守備だけに終わらず、勝つために戦う。そういうところは世界のサッカーに学んでいきたい。

 --兼任は可能なのか

 森保氏 常に1日1日、1試合1試合が勝負だと思ってやっていかないといけない。そこは評価していただく方に評価していただき、一番大事なのはチームファーストだと思う。私1人でやるのではなくて、日本協会、代表を支える方の力をお借りしてやっていけば、2つをやることは可能だと思っていますし、より大きなメリットになると思っています。スタッフも1グループだけでは回らないと思うので、まだ今は白紙だが、これから時間をかけてスタッフの人選を対応していきたい。

 --年内に親善試合があり、アジア杯は公式戦となる。結果の求められるアジア杯までのプランは

 森保氏 まずはこれといった絶対の正解はないと思いますし、常に状況をみながら、把握しながら、どういう形でいったらチームが発展していくんだろうということを見ながら1回1回の大会に臨んでいきたい。結果を出すなら実績ある選手ということですが、実績があるから勝てるかと言われれば、そうなるかわからない。結果が求められることは承知していますし、できると思っていただけているからこそこの場にいるので、日本サッカー界の発展のためにトライすること、結果にこだわらずにやっていきたいと思います。もちろん全て成功して、勝ちたいと思ってやっている。失敗にビビらずにやって、正しいと思うことをやって、そこでいろんな評価をいただくのは問題ない、そこで道が絶たれるのか、つぶれるのか、次につながることを実践していきたい。

 --A代表のスタッフと五輪代表スタッフは別に考えているのか。スタッフはいつまでに整えるのか

 森保氏 スタートのキリン杯はすぐにスタッフ編成をすることできないので、東京五輪のチームに関わっているスタッフでやっていきたいし、プラスアルファが必要なら、技術委員長と相談して決めたい。スタッフは今、フリーの方など全ての方とそこはいつまでにと焦って決めるのではなく、一番最高のスタッフになるよう、しっかり考えながらと思っています。

 --西野監督の背中や言葉など、印象に残っている言動はあるか

 森保氏 ひと言でいうと、全てすごかったなと思いますし、あの準備期間で監督になって、西野さんはそこでもすごく我慢とか、見守ることができる人だと思いました。せかしたりせず、今チームとして短期間で成長するために、選手のやる気や個性を認めながらやっていた。