【アルアイン(UAE)29日】日本が史上最多を更新する、2大会ぶり5度目の優勝に王手をかけた。28日の準決勝でイランに3-0で快勝。MF南野拓実(24=ザルツブルク)が全3得点を演出し勝利に貢献した。2月1日の決勝は、元日本代表監督のザッケローニ氏率いるUAEと22年W杯開催国で強化を図るカタールの勝者と対戦する。イラン戦から一夜明けたこの日、日本は控え組が練習した。

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完勝の余韻に浸ることなく、森保ジャパンは決勝へ切り替えた。イラン戦から一夜明け、先発組とボランチで途中出場したDF塩谷は宿舎で回復に努めた。控え組の10人はピッチで練習。勝利の立役者の南野は優勝だけを見据え、次の出番へ静かに備えた。

魂あふれるプレーが日本を救った。イラン戦は前半から拮抗(きっこう)した展開。後半11分、FW大迫からパスを受けた南野はドリブルで仕掛けると相手DFと交錯し、倒された。

反則と思われたが、笛は鳴らなかった。南野はすぐに起き上がってタッチラインを割りそうなボールを追った。ギリギリで追い付き、左クロスを中央へ。大迫が頭で合わせて先制した。逆にペナルティーエリア付近で、5人が審判に「ノーファウル」を主張して動きを止めたイランの隙を、南野が突いた。

試合後、南野は「次頑張ります」としか話さなかったが“サムライ魂”を象徴していた。仲間からも称賛された。MF原口は「森保さんは練習から『(微妙な状況でも)やめるな、続けろ』とずっと言ってきた。それができた、いいシーン」。DF長友は「どんなにはいつくばってでも立ち上がっていく。それを見せた。日本人の強さであり誇り」と、ガッツあふれるプレーを褒めたたえた。

FIFAランクでアジア最上位29位のイランに、同50位の日本が挑む一戦だった。背番号9は全3得点に絡んだ。チーム2点目はペナルティーエリア内で仕掛けて相手のハンドによるPKを誘発。後半ロスタイムのダメ押し点は、MF柴崎のパスをうまく落とし、ゴールを挙げたMF原口へうまくつなげた。

今大会はこれで5試合に先発出場。前線の大迫、原口、堂安はゴールを決める中で、なかなか決定機に絡むことができなかった。16年リオ五輪最終予選でも4試合無得点。イラン戦前には「アジアの舞台で戦う難しさ。そこも楽しみながら、いい経験にしていければ」と、もどかしさを感じていた。

南野と半端ないエース大迫が復活を遂げて臨む2大会ぶりの決勝。日本は過去の決勝で4戦全勝だ。5度目の頂点へ、今度は南野のゴールで駆け上がる。【小杉舞】