気鋭が大いなる可能性を見せた。日本代表MF久保建英(18=マジョルカ)が5日、国際親善試合キリンチャレンジ杯パラグアイ戦(カシマ)に後半開始から出場し、ドリブルやパスで攻撃の中心となった。国際Aマッチ史上最年少得点(19歳119日=77年金田喜稔)の更新は持ち越しも、10日のミャンマー戦(ヤンゴン)から始まる22年W杯カタール大会アジア2次予選での活躍を予感させた。試合はFW大迫勇也(29=ブレーメン)、MF南野拓実(24=ザルツブルク)のゴールで2-0で快勝した。

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決して平らでない22年カタールへの道、それを踏破する力を久保が示してみせた。後半開始すぐの4分、右寄りの位置で反則を得ると、自ら直接FKを狙った。9分にはサイドライン際で3人に囲まれながら切り抜け、FW大迫へのパスでチャンスを演出。突出した打開力だった。

得点機もあった。13分、MF原口からのクロスボールにフリーで左足を合わせたが、DFの足に阻まれた。14分にはゴールライン付近の角度のないコースから狙うもクロスバーに嫌われた。「他の選択肢がある中で狙っている。(ゴールは)いつか入ることを信じて、狙っていければ」。史上最年少ゴールはお預けも、存在感は随一だった。

デビュー戦となった6月のエルサルバドル戦や南米選手権ではトップ下を始め中央寄りでプレーしていた。この日は右サイド。森保監督は「個で仕掛けて、周りをうまく使うこともできていた。チームのオプションの1つになるプレーを見せてくれた」と評価。一方で「守備の部分ではまだ強さは足りない」と注文も忘れなかった。

A代表デビューからめまぐるしい約3カ月だった。スペイン1部Rマドリードへの電撃移籍からトップチームでの実戦経験、そしてマジョルカへ。「いろんなチームや代表で、トップレベルの人たちとサッカーができているのはすごくいいこと。環境が変わることを逆にプラスに捉えたい。好きでやっているので全然大変じゃないです」。頼もしい言葉だった。

序列を覆すのは簡単ではない。この日も2列目のMF中島、南野、堂安と1トップの大迫は呼応し、鮮やかな連係でゴールを脅かした。個にとどまらない力を生み出す1人になるには時間は不可欠だ。「前半は堂安選手の動きを見ながら。プレスだったり、学べる選手がたくさんいる。たくさん学んで、今度は自分が挑戦できる日がくればいい」。謙虚に視線を上げた。

シュート数はフル出場の南野と並ぶチーム最多の5本。惜しくもゴールを逃し、天を仰ぐこと3度。「打ったからには決めないといけない。入っていないことがすべて」。スタンドを沸かせに沸かせても、これしきのことで笑顔は作らない。持ち越した“満点回答”は、ミャンマーの地で見せればいい。【岡崎悠利】