【ビシケク(キルギス)13日=浜本卓也】サッカー日本代表(FIFAランキング28位)は今日14日、キルギス代表(同94位)と対戦する。昨年の初対戦時とは相手の顔ぶれも変わる見込みで、敵地では初試合。あまりなじみのないキルギスとは? 国際協力機構(JICA)キルギス事務所の職員アルマズ・ジュマグロフ氏(26)に国民性やサッカー事情について聞いた。

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ジョークがジョークに聞こえないほど、流ちょうな日本語の自己紹介だった。姿を見せたアルマズ氏は「日本人です」とほおを緩めた。キルギス出身ながら大学生時に1年間、大阪に留学した経験から日本語が堪能。現在はJICAで医療とボランティアを中心とした現地での事業を職にしている。

日本ではあまりなじみのないキルギスは、どんな国か。現地では「かつて一緒に住んでいた人々のうち魚好きは東に行って日本人に、肉好きは西に行ってキルギス人になった」とよく言われるという。アルマズ氏も「日本人とよく似ています。外見だけでなく文化も。例えば家で靴は脱ぎますし年長者を敬います」と認め、小学生時代からプレーを続ける大好きなサッカーにも通じると続けた。「役割を与えてそれをきちんとやる。最後までやるべきことをやる努力をします」。

規律を守り、愚直に役割を果たす。日本の森保監督に前日会見で「チームとして規律のとれた戦いができる。攻撃のバリエーションも持っている」と警戒された特徴が代表の長所だとし、1人の選手を持ち出した。「ムルザエフはFWとしてチームを引っ張る。100%の力で最後までやる。一番人気があります」。

同国はレスリングが最も盛んだが、サッカーも社会人リーグができるなど人気が上昇中だという。日本戦のチケットは完売し、スタジアム付近の広場でパブリックビューイングの開催も決定。「1万人は集まるのでは」と期待も大きい。

アルマズ氏もキルギスの勝利を願う1人だが「個人的な見解ですが、日本が先に点を取るでしょう」と冷静。そのうえで「寒さに我々は慣れている。この時期は気温が0度を下回ることもありますし雪が降ることもある。ピッチも日本ほどきれいではない」と“地の利”を挙げた。「代表は盛り上がってきていて強くなっている。今回は大事。楽しみです」。敵地のキルギス、侮ることなかれ-。

◆キルギス共和国 中央アジアに位置する旧ソ連の共和国。国土の面積は19万8500平方キロメートルで日本の約半分で、人口は620万人。首都はビシケク。キルギス語が国語で、ロシア語は公用語。主要産業は農業・畜産業、鉱業。代表チームは92年に初めて試合を行うなど歴史は浅い。FIFAランクは94位。W杯予選は98年大会から参加し本大会出場は1度もない。日本との対戦は過去に1試合だけで、昨年11月20日の親善試合で0-4と敗戦。当時のクレスティニン監督が今もチームを率いる。