森保一監督(52)にとって、初の韓国戦の勝利だった。選手時代は3戦未勝利。過去を振り返り「戦いの中で我々が全力を出して戦う意思を持ち、自信を持って戦えば、対等に戦える相手だなと思って戦った感覚は覚えています」。監督としても、勝ったことがなかった相手。19年の東アジアE-1選手権は、0-1と惜敗。“5度目の正直”だった。

反省を生かした。「試合の入りのところ。球際のところで負けてしまって、受ける展開になった」とE-1の試合を分析。序盤から主導権を握り、特に右サイドでは数的有利の場面をつくった。初招集のDF山根を右サイドバックでスタメン起用。DFでありながら、攻撃的な山根の長所を生かし、逆に相手に“受けさせた”。

勝利はもちろんの上、「お互いを高め合えるライバル、アジアを引っ張っていく仲間として、いい試合を出来れば」と臨んだ一戦。活動前には、斉藤コーチがコロナ陽性の判定を受けるなど、予想だにしない事態も起きた。

試合後のインタビュー。「この試合に向けて準備は簡単じゃなかった」と言った。「サッカー少年、少女だけではなく、多くの人の元気や勇気や根気につながるような、大変な思いをしている人たちに励ましのエールになるような戦いをと思っていた」。日韓戦であり、1年4カ月ぶりの国内での代表戦。「賛否両論がある中」と鑑みながらも、勝利を通して、日本に元気を届けた。【栗田尚樹】