日本協会は22日、ワールドカップ(W杯)アジア最終予選2試合を戦う日本代表23人を発表した。大黒柱のDF吉田麻也主将や、売り出し中の三笘薫、古橋亨梧らがけがで不在の苦境で、MF久保建英(20=マジョルカ)が復帰した。負傷離脱により昨年10月、11月と直近の2回の活動では不在で、約4カ月ぶりの招集。森保ジャパンはB組2位とW杯出場圏内につけているが、最終予選ここまで6試合で5得点と決定力不足。ジョーカー役として、待望の国際Aマッチ初得点でチームを加速させたい。日本は1月27日に中国、2月1日にサウジアラビアと、いずれも埼玉スタジアムで対戦する。

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久保が帰ってきた。昨年9月の右膝負傷から、11月27日のヘタフェ戦で実戦復帰。直後の12月5日の強豪アトレチコ・マドリード戦で金星をもたらす劇的ゴールを決めると、15日の国王杯エスパニョール戦では直接FKをたたき込んでいる。DF吉田主将を筆頭に、攻撃陣にも負傷離脱者が相次ぐ森保ジャパン。絶対に負けられない、2連勝しか許されないホーム2連戦のジョーカーとしての期待も背負い、完全復活を印象づけて復帰した。

長期離脱はキャリアで初めてだった。Aマドリード戦で世界的な名手GKオブラクの股を抜いた後、「今日はうまくいったが、違う日もある。勝つことも負けることもある。そうやって進んでいくべきだと思う」と語っていた。J1東京在籍時には「負けた試合から得るものはない」と高いプロ意識をにじませたこともあった。しかし、海外に戦いの場を移し、敗戦をすべてマイナスだと決めつけるようなことは、今はない。成功までの過程には苦しみもあると、スペインで戦う中で感じて、大きくなっている。

ピッチを離れている間、日本代表はW杯圏内のB組2位に浮上して、勝負のW杯イヤーを迎えた。戦うたびに、敗戦なら森保監督の進退問題に発展しかねない事態を、いったんは乗り越えた。ただ、久保が語るように、敗戦を成功の糧とするために、日本は勝ち続けるしかない。久保は、19年6月のA代表デビューからすでに国際Aマッチ13試合に出たが、期待され続ける記念の初ゴールはまだ。待ち焦がれている1発こそ、チームを加速させる合図となる。

2列目の競争は厳しいが、セットプレーのキッカーという無二の武器がある。ジョーカーでも、先発でも、さらに、どんな陣形でも持ち味を発揮できる強みもある。昨夏の東京オリンピック後には「最終予選に1試合でも多く出て、活躍して、W杯で頑張りたい」と語った。有言実行のため、目に見える結果を出すときだ。【岡崎悠利】