勝たなきゃいけない試合で、日本代表の前線で体を張る男たちが仕事を果たした。日本(FIFAランク26位)は中国(同74位)に2-0と快勝。勝ち点15で、本大会出場圏内のB組2位を守った。

【W杯予選】森保ジャパン2発快勝!4連勝で2位堅守/ライブ速報詳細>>

前半13分、FW大迫勇也(31=神戸)がPKを沈め、先制点を奪取。後半16分にはMF伊東純也(28=ゲンク)が、3試合連続得点となるヘディング弾。吉田麻也(33=サンプドリア)、冨安健洋(23=アーセナル)のDF2枚看板を故障で欠く中、ホーム2連戦(ともに埼玉)の初戦を快勝で飾った。

   ◇   ◇   ◇

フーッと何度も息を吐き出した。腰に両手を添えた大迫は呼吸を整え、ボールを見つめ、目の前のGKを睨みつけた。細かいステップを挟み、勢いよく走りだした助走。ゴール右のギリギリを突いた力強いシュートは、相手GKの手をかすめることはなかった。両手を広げ、喜びに浸るや否や、開いていた手のひらをガッツポーズに変えた。何度も、何度も「ヨッシャー」と雄たけびを上げた。

エースとして君臨するからこそ、絶好の機会を逃さなかった。0-0の前半13分だった。MF伊東がペナルティーエリア内の右で仕掛け、クロスを入れた際に相手のハンドを誘った。開始早々に得たPK。大迫は、決めるだけだった。アジア最終予選は2点目。得点力不足を嘆かれていた中、昨年9月8日の中国戦以来となる得点で、日本に先制点をもたらした。

長く日本代表の1トップを張るからこそ、若手には負けてはいられない。今月中旬に行われた日本代表の国内合宿では、同じポジションを争う後輩を圧倒した。鹿島FW上田綺世(23)は、鹿島OBでもある大迫の姿に「ポストの質、ボールを受ける引き出しが(他の選手よりも)抜けている。そこの精度は自分はまだまだ」とため息をついた。その上田は今回の代表はメンバー外。大迫が先輩の意地とプライドを示し続け、結果でまた存在感を見せつけた。

最前線なら、この男も黙っていなかった。先制点をもたらした伊東だ。後半16分。途中出場のDF中山が左サイド深くから供給した精度の高いクロスに、高い打点のヘディングをゴール左へ突き刺した。「自分が取ってやるという気持ちは常に持っている」と話していた通り、昨年11月のベトナム、オマーン戦に続く3戦連発弾。日本代表の得点王として、またしても大事な試合でゴールネットを揺らした。最終予選でチームを3連勝に導くのは史上初の快挙でもあった。

思いを1つに、攻撃を続けた。今回の代表シリーズでは、キャプテン吉田、若きディフェンスの柱の冨安が故障のため、招集が見送りとなった。DFの2枚看板を埋めるべく、前線の男たちが結果を残した。【栗田尚樹】