前J3松本監督の名波浩氏(50)が、サッカー日本代表コーチに就任確実となっていることが16日、分かった。

常任コーチとして主に攻撃の組み立てなどを担当する。今日17日の技術委員会で推薦を受け、19日の理事会で承認される見込み。森保ジャパンは既存のコーチ陣に前田遼一氏と名波氏が新たに加わり、常任コーチ人事は終了する。中村俊輔氏のロールモデルコーチ就任は、本人の意向を第一に尊重する方向で2月中に去就が決まる。

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名波氏の創造力に攻撃が託される。現役時代、主にボランチや2列目でゲームメークした名手が、日本代表のコーチに合流する。19日の日本サッカー協会(JFA)理事会で前田コーチとともに承認され、その後、正式に発表される。

日本代表はW杯カタール大会後、主に攻撃を担当していた横内、上野の両コーチがそろってチームを離れ、Jクラブの監督に就任した。3年半後のW杯米国・カナダ・メキシコ大会に向け、攻撃を任せるコーチの人選を進め、名波氏、前田氏、中村氏を補強することで交渉を進めてきた。

JFA幹部は「名波は相当悩んだようだが、決断してくれたようだ」と話した。既存のコーチや新たに加わるコーチの中、Jクラブで監督業の経験があるのは名波氏のみ。森保監督とは現役時、日本代表で親交を深めた。攻撃の組み立てだけでなく、相談役としても一役買いそうだ。また、前田氏とは磐田時代の同僚という関係でもある。

JFAは、攻撃を組み立てる指導者として横浜FC中村コーチに就任を要請中だが、あくまでも兼務のロールモデルコーチ。名波氏は常任コーチとして普段から森保監督とコミュニケーションを取り、戦術確認や視察、チームのビジョンなどを話し合い、代表チームに落とし込むことになる。

さらに名波氏は清水商時代の同期で、パリ五輪世代の現U-22代表監督の大岩剛氏とも親交が深いため、下の年代代表とも連携が取りやすい。パリ経由北中米行きの道筋がつくりやすく、A代表として未知数な若手をまずU-22代表で試し、結果によってA代表へ引き上げることもスムーズにできる。

名波氏の入閣で森保ジャパンの常任新体制が決まり、3年半後のW杯に向けた挑戦が本格的に始まる。

◆名波浩(ななみ・ひろし) 1972年(昭47)11月28日、静岡県藤枝市生まれ。清水商-順大-磐田-ベネチア-磐田-C大阪-東京V-磐田。98年W杯フランス大会に出場、国際Aマッチ68試合9得点、Jリーグ通算288試合32得点。左足からの正確なパスとFKが持ち味。08年に現役引退。14年9月に当時J2磐田の監督就任し、19年に退任。21年から昨季までは松本監督。177センチ。