日本サッカー協会(JFA)は17日、26年ワールドカップ(W杯)を目指す日本代表のコーチとして、名波浩氏(50)と契約合意したと発表した。

W杯の日本代表で10番を背負った男として初めて、名波氏が代表コーチになって帰ってきた。前体制で森保監督を右腕として支えた横内コーチが退任。その後を受け継ぎ、攻撃の組み立てなどを担当する。この日行われた日本協会の技術委員会で就任が決議された。反町技術委員長は「たくさんの選択肢のなかで、森保監督がぜひともという形で採用になった」と、指揮官の意思を最優先したことを明かした。

現役時代は日本代表の司令塔として、98年W杯フランス大会に10番で出場するなど活躍。高精度のFKも武器とし中盤をけん引した。引退後は監督として磐田、松本を指揮。監督としては、松本をJ3に降格させるなどしたが、選手としての実績、経験は群を抜く。反町委員長は「代表は国際試合がメインになる。うまく(経験を)伝えてくれることを楽しみにしている」と話した。

99年にはセリエAのベネチアでもプレーした。いまや日本代表は欧州組が大半を占める。選手として海外でのプレー経験を持ったコーチは大きな意味を持つ。選手に寄り添うだけでなく、現在10番を背負うMF南野ら中心選手に帝王学を授けるなど、チームに新しい風を注入する意味でも、期待は大きい。

森保監督は人事についてかねて「ボールを握りながら、チャンスを作ることにたけている元選手を」と語っていた。トップ下を中心にボランチも経験している名波氏は適役。3月に国立で開催される国際親善試合で新たなスタートを切る。海外組が大半を占める見込みの日本代表でセリエAでの海外経験を持つレジェンドコーチの誕生は“新しい景色”を目指す日本にとって、これ以上ない意味を持つ。名波氏が、森保ジャパンをさらなる高みへ引き上げる。【岡崎悠利】

◆名波浩(ななみ・ひろし)1972年(昭47)11月28日、静岡県藤枝市生まれ。清水商-順大-磐田-ベネチア-磐田-C大阪-東京V-磐田。98年W杯フランス大会に出場。J1通算314試合34得点。国際Aマッチ67試合9得点。左足からの正確なパスとFKが持ち味。08年に現役引退。14年9月に当時J2磐田の監督に就任し、19年に退任。21年から昨季までは松本監督を務めた。

◆組閣状況 名波、前田の両氏が新たに加入し、組閣はいったん完了した。残るは昨季限りで現役引退した横浜FCコーチの中村俊輔氏(44)のスポット的な「ロールモデルコーチ」就任発表が待たれる。就任は確実となっているが、本人の意向を尊重する方向。2月中に就任が決まる見込み。