12年ぶりの優勝を目指す日本代表「なでしこジャパン」(FIFAランキング11位)が、今大会初戦でザンビア(同77位)を5-0で退け、白星発進した。

29歳にしてW杯初出場のFW田中美南(INAC神戸)が1ゴール1アシストと攻撃陣をけん引し、シュート数は26対0という圧勝劇だった。第2戦は26日(日本時間午後2時)にコスタリカと対戦する。

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女子サッカー人気の低迷が叫ばれる中、再び頂点を目指す姿勢を誰よりも表現したのが田中美だった。前半21分、右サイドから遠藤がFKを蹴るとこれがゴール前でこぼれ、田中美が倒れ込みながら右足で押し込んだ。先制点かと思われたがVAR判定でオフサイド。1-0の後半4分にも左足シュートを決めたが、オフサイドで取り消された。

だが諦めなかった。後半10分、左サイド遠藤からのクロスに飛び込み「三度目の正直」でゴール。W杯初ゴールとなる代表29点目をマークした。「(遠藤)純がオフサイドじゃないかと心配だったが、ほっとした」と苦笑した。

前回の19年フランス大会は「なでしこリーグ3年連続得点王」の肩書とともに臨むはずだったが、まさかの落選。その悔しさから、良いパサーがそろい居心地の良かった日テレ東京VからINAC神戸への移籍を決意させ、さらには21年のドイツ1部レーバークーゼン入りにもつながった。

後半17分には右サイドでゴールラインを割りそうになったボールを諦めずに追い、クロスを送り得点につなげた。昨年のカタールW杯で話題になった「三笘の1ミリ」が頭にあったといい「粘るって大事だなと思っていた。何があるか分からない」。アシストを決めたり、低い位置に下りて得点の起点になったり、と労を惜しまない。「(他の選手に)合わせることができるようになったのが一番成長した部分」と話す新境地だ。

なでしこジャパンは11年ドイツ大会優勝から徐々に人気が下降し、16年リオ五輪では出場権さえ逃した。だが田中美が前回大会での落選の悔しさをバネに飛躍を遂げたように、チームも再び頂点を目指す。池田監督は「勝ち点3を取れて満足している。(守備陣は)裏のスペースを消しながらいい準備をして、決定的なことはさせなかった」。再び頂点を目指し、申し分のないスタートを切った。