26日に予定されていたサッカーのFIFAワールドカップ(W杯)アジア2次予選・日本-北朝鮮戦のアウェー平壌開催を土壇場で見送った北朝鮮は、医療体制に不安を抱え、新型コロナウイルスが世界的に流行した2020年に国境の往来を事実上封鎖するなど感染症に極めて厳しい対応を取ってきた。

国営メディアは21日、日本で「悪性伝染病」が広まっていると報道。日本での実態以上に強い警戒心を抱いているもようだ。

北朝鮮は致死率が約30%とされる劇症型溶血性レンサ球菌感染症の拡大を懸念しているとみられる。日本国内の報告数は昨年、記録のある1999年以降で過去最多となった。北朝鮮メディアは感染経路が新型コロナと類似しており、既に日本各地に拡散していると伝えている。

これに先立ち英国や韓国のメディアは今月中旬、この感染症が日本で急増していると報じていた。北朝鮮は従来、世界の感染症動向に敏感で、他国の報道に触発された可能性もある。

北朝鮮は医療や防疫に必要な施設や器具が十分ではないとされ、最近になって平壌や北部慈江道など各地で総合病院の建設を急いでいる。市民間の感染を食い止められなければ、最高指導者の金正恩朝鮮労働党総書記の健康問題につながりかねないとの懸念もある。

北朝鮮はコロナ前にも、防疫のための往来規制を繰り返してきた。2003年に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した際や、14年に西アフリカでエボラ出血熱が流行した際も外国人の入国停止措置を取った。