サッカー日本代表(FIFAランキング18位)がW杯アジア2次予選で北朝鮮代表(同114位)を1-0で破り、同予選開幕3連勝とした。

MF田中碧(25=デュッセルドルフ)が開始80秒で先制点。この得点が決勝弾となり、攻守で存在感を発揮した。選外だった年始のアジア杯カタール大会で歴代最低の8強止まりだったチームを、持ち味の得点力で勢いづけた。北朝鮮のホームで実施予定だった26日の第4戦は、平壌開催が中止。現時点で開催地も含めて全て未定だが、次戦勝利で最終予選進出が決まる。

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いきなり田中がみせた。試合開始わずか80秒。前線からのプレスで日本がボールを奪うと、ペナルティーエリアに進入。MF堂安の折り返しを冷静に右足で決め、両手を広げて祝福を受けた。1月1日に国立で行われた24年ファーストゲームタイ戦でも先制点をマーク。ナショナルスタジアム2戦連発に「マイナス(の場所)が空いていた。いいボールをくれたので、あとは決めるだけだった」とうなずいた。

中盤随一の決定力を誇る。代表でポジションを争う主将遠藤と守田はここまで代表通算3得点。26試合で8点目の田中の存在感が光るが「特別難しいゴールを決めているわけではない。良いパスが来ている。自分の力で取れれば、もっと良い選手になれる」と貪欲だ。

「バケモンになって、ここに戻って来たい」。W杯カタール大会決勝トーナメント1回戦でクロアチアに敗れた後、そう宣言した。その後、23年は代表で6試合3得点をマーク。所属するデュッセルドルフでは、今季すでにキャリアハイの6得点まで伸ばす。代表初先発だった21年W杯アジア最終予選オーストラリア戦や、本大会で「三笘の1ミリ」を押し込んだスペイン戦など、記憶に残るゴールが多い。「どんな形であれ、ゴールは正義。評価すべき」。そんな得点への強いこだわりと同時に、中盤として、守備でも攻撃の組み立てでも「バケモン」級に活躍することを目指している。

「チームが勝つことが一番。僕が決めることはポジティブですし、点を取りたいと思いつつも、チームが勝つことに対して全力でやれればいい」。日本代表には、必殺仕事人・田中がいる。【佐藤成】