【ドーハ21日=佐藤成】U-23日本代表唯一の大学所属プレーヤーFW内野航太郎(19=筑波大)が、首位通過をかけた日韓戦の切り札になる。

22日はパリ五輪アジア最終予選兼U-23アジア杯カタール大会の1次リーグ第3戦韓国戦。両国が勝ち点、総得点、総失点全てが並ぶ状況で、勝った方が1位突破。引き分けの場合はPK決着まで行う「真剣勝負」となる。昨年9~10月のアジア大会決勝と3月の大学日韓定期戦で韓国相手に得点を決めている大学生ストライカーが、韓国キラーぶりを発揮する。

いよいよ本領発揮する時が来た。3月の強化試合に未招集だった内野航は、アジアや韓国への強さを見込まれての「サプライズ」選出だった。185センチ、82キロの体格と抜群の決定力が魅力。昨年のアジア大会では追加招集ながら、チームトップの5試合4得点。敗れた決勝の韓国戦でも先制点を奪った。「前には強いけど駆け引きでボールウオッチャーになるとか、自分の良さが良い感じでマッチしているのかな」と国際舞台に強い理由を分析した。

得点感覚は鋭さを増している。大半を10人で戦った初戦の中国戦とUAE戦は途中出場して不発に終わったが「今は右足を振れば入るなという感触がある。やっと自分の良さもチームメートに理解されてきて、パスを引き出せるようになってきた」と手応え十分だ。

大学に入り、よりスケールアップした。横浜の下部組織時代にも高校年代最高峰のプレミアEASTで新記録となる21得点を挙げ得点王に輝いた大器。日本代表MF三笘薫(26=ブライトン)も通った筑波大には専門家や施設がそろっており、各所に出向いて体の動かし方を一から学んだ。「ひたすら追及して、どうしたらパフォーマンスにつなげられるかを意識してやっています」。能力を上げる過程で、しなやかさを失わずに体重も3キロアップした。

何よりも得点でのし上がってきた。「今まで取ってきた得点は、このスタートラインに立つための得点だと思っている。ここからの得点は本当に価値のある得点だと思っている」。プライドと首位突破を懸けた日韓戦でその実力を証明してみせる。

◆五輪アジア最終予選出場の主な大学生選手 直近リオデジャネイロ五輪の予選には、明大DF室屋成が唯一の選出。ホームアンドアウェー方式だった12年ロンドン大会は流通経大のDF山村和也やDF比嘉祐介らがメンバーに名を連ねた。北京大会の最終予選は法大MF本田拓也、流通経大GK林彰洋。04年のアテネ大会では、早大DF徳永悠平、筑波大進学直前の国見FW平山相太が最終予選メンバーにいた。