現在6戦2分け4敗で最下位のJ2山形が“大黒”柱外しの荒療治で今季初勝利をつかむ。今日9日のホーム町田戦に向けて石崎信弘監督(58)は8日、天童市内で行った最終調整でFW大黒将志(35)に代わりFWディエゴ・ローザ(27)を2日連続で主力組に抜てき。開幕戦(2月28日、北九州)以来2度目の先発起用で、局面を打開する。

 今季初勝利のために指揮官が下した決断は、先発5戦で2得点の大黒外しだった。6日の練習では本来の3バックではなく、14年9月6日のJ2水戸戦以来となる4バックを試すなど、試行錯誤を続けた中で答えを導き出した。ローザの先発起用について聞かれた石崎監督は「先発かどうか分からん」と煙幕を張りつつ「期待するのは得点しかないじゃろ」とまくしたてた。

 大黒を外し、今季無得点のローザをあえて抜てきした理由は、原点回帰以外の何ものでもない。ブレずに再度、石崎山形プレスサッカーを押し進める。石崎監督は「大黒に対していいパスが出せてない」と連係面を課題に挙げた。大黒が前線からのプレスよりも、相手DFとの駆け引きを優先する状況が続いており、現時点では戦術にマッチしていないという見方もできる。

 ローザは加入1年目ながら戦術を理解し、前線から献身的に走り続ける。石崎監督は「顔は怖いが、真面目じゃよ」と評価する。ローザも「状態は100%。特長も把握している。ベストを出すだけ」と意気込む。相棒ディエゴとFW川西とともに「前線プレス三銃士」を結成し、前から一気に押しつぶす。

 最後にすがるのは、監督自らが信じてきた道だ。「ワシャこれしかできん」。頑固一徹、プレス1本で積み上げたリーグ戦勝利は249個。押して、押して、押しまくる。【高橋洋平】