“タイのメッシ”がJクラブとの初実戦で、いきなり魅せた。北海道コンサドーレ札幌は9日、東京の味の素スタジアム西競技場でJ2町田ゼルビアと練習試合を行い、1-1で引き分けた。後半15分に先制を許した札幌だったが、同25分、抜け出したMFチャナティップ(23)がドリブルで駆け上がり、同点のミドルシュート。母国タイでインターネット中継された実戦で“来日1号”を決めた。

 メインスタンドから芝生席まであふれた観衆は、約600人。控え組中心の練習試合は、熱気に満ちた。1点ビハインドで迎えた後半25分、抜け出したMFチャナティップが、ドリブルで左サイドを駆け上がる。MF前との連係で町田DFをかわし、最後は右足でミドルシュート。ボールはGKの頭上を越え、ゴール中央に突き刺さった。Jクラブ相手の初実戦で同点弾を決めた“タイのメッシ”は「リードされてチームの雰囲気が落ちていたところだったので、うれしい」と、柔らかい笑みを浮かべた。

 母国のサポーターに、しっかりと勇姿を届けた。練習試合ながら、母国タイでは、この試合をインターネットで中継。気温33度近くまで上昇した熱波も、どこ吹く風。身長158センチの小柄な体で鮮やかにボールを奪い、持ち味のドリブル突破を何度も試みた。当初は70分で交代の予定だったが、攻撃的MFとして志願の90分フル出場。「タイと変わらず、すごく暑かった」と苦笑いも「勝利のために1分でも長くプレーしたかった」と話した。

 タイでのプレー経験があるMF前は「バンコクに行けば、ビルに広告がたくさんある有名人。それなのに、僕らとコミュニケーションを取るために一生懸命、日本語の勉強を頑張っている」と、誠実な姿に感嘆する。四方田監督も「常に余裕があり、周りが見えている。終盤にもスプリントが落ちない。ショートパスで局面を打開する部分は武器になる」。来月下旬以降の公式戦デビューへ、評価を上げた。【中島宙恵】