この夏、ACミランを退団し、メキシコのパチューカに加入した日本代表FW本田圭佑選手(31)は、6月1日に人材紹介会社のブランドアンバサダーに就任しています。

 「Next Connect株式会社」がスタートさせたアスリートのセカンドキャリア、スポーツ業界への転職を支援する転職サイト「Next Connect(通称:ネクコネ)」の顔として「もともとアスリートは“努力する才能”がある。業種が変わってもその才能は活かすことができるので、必ず成功します。そういった方々のきっかけを作っていければと思います」などとコメントしています。

 アスリートと企業のマッチング、スポーツ業界と、そこで働くことを目指す人とのマッチングを目指す手助けをするサイト(https://nextconnect.jp/=登録は無料)だというのですが、本田選手と転職サイトに、一体どんなつながりがあるのでしょう。常識を疑い続け、常人には理解できないような道を突き進む本田選手を理解するヒントがあるのではと、同社の木村隆史代表取締役(34)に話を聞いてみました。

 木村さんは、本田選手の所属事務所で人事担当者として活躍、同社が全世界に展開するサッカースクールのコーチの面接などで手腕を発揮していました。採用したコーチは、ずっとサッカーに打ち込んできた人たちが多かったそうです。ところが、ある時「社会人としての成長スピードも、真摯(しんし)に物事を受け止めて、打ち込む姿勢も、スポーツをやっていた人たちは、総じて潜在能力が高い」と無限の可能性に気付いたそうです。

 対象はトップアスリートに限らず、純粋にスポーツに打ち込んだ人も含まれており、もちろんそのままスポーツ界への転職もアリだといいます。スポーツ経験のある人の一般企業への転職、普通のサラリーマンの方々のスポーツ業界への転職の両パターンに対応できるよう、態勢を整えているそうです。

 サッカーに限らずスポーツによって育まれた人材に、ピッチやグラウンド以外での活躍の場をと、一念発起しての起業。社名の頭文字「N」と「C」を組み合わせたロゴマークにも意味があるといいます。Nを折れ線グラフのように見立て「たとえ途中で挫折したとしても、さらに右肩上がりで成長できるように」、さらにCを従来の枠組みに見立て、それを打ち破るような願いを込め組み合わせてデザイン。細部にこだわり、新たなスタートを切ったそうです。

 本田選手も、挫折を重ねてのし上がり、従来の殻を打ち破るような、右肩上がりの志向で、成り上がってきました。同社のアンバサダー就任は、二つ返事だったといいます。

 転職サイトといっても、この夏、一時は所属なしになった本田選手が登録し、パチューカを紹介されたわけではないのですが、本田選手はずっとサッカーに育ててもらい、サッカー、広くはスポーツ界への恩返ししたい思いを胸に秘めています。

 新天地で新たなスタートを切ったタイミングでのアンバサダー就任は、同じように新たなスタートを切ろうとしている人たちへのエールなのかもしれません。

【サッカー担当=八反誠】