北海道コンサドーレ札幌MFチャナティップ(23)が天国の仲間に白星を贈った。24日、タイ代表のトレーナーらスタッフ3人が交通事故で死去。この日は札幌の全選手が喪章を着けて、ピッチに立った。

 「僕らの仲間のために、みんなが喪章をしてプレーをしてくれたことにタイ人を代表して感謝したい」。前半24分、右サイドでDF1人をかわし右足で絶妙なクロスをゴール前のFW都倉の頭に合わせた。シュートは右ポストに阻まれたが前線で起点となり失意の中、ベストを尽くした。「雰囲気も芝も最高だった。みんなと勝利を手に出来てうれしい」と振り返った。

 亡くなったのは通訳、コーディネーター、トレーナーの3人。タイ国内を自動車で移動中に悲劇に遭った。18歳でA代表入りした「タイのメッシ」にとって、陰で支えてくれていた大事なパートナーたちだった。「みんなが頑張ってと励ましてくれたことで勇気が出た」。うちひしがれる18番を全員で元気づけ、5試合ぶり白星を呼び込んだ。

 次は代表戦で手向けの勝利を贈る。この日、W杯アジア最終予選タイ代表に選出された。今日27日に帰国し、J1中断期間の31日イラク戦、9月5日オーストラリア戦に出場する。タイは日本と同じB組も0勝2分け6敗、勝ち点2の同組最下位。既にW杯出場権はないが「2戦とも全力で頑張りたい」と前を向いた。

 オーストラリア戦は日本のW杯出場をアシストする可能性もある。再来日は9月7日。まず母国の1勝、そして日本のW杯出場にも貢献し、再びJのピッチに戻ってくる。【永野高輔】