J3初参戦のアスルクラロ沼津が、ホームでカターレ富山に2-0で快勝した。10戦負けなしで3連勝。前節まで首位の秋田が敗れたため、勝ち点1差で暫定首位に立った。 開始から46秒。MF白石智之(24)の右クロスに、フリーのFW青木翔大(27)が左足を合わせて先制した。攻撃陣では14得点で得点ランク2位のFW薗田卓馬(24)が注目され、他の選手のマークが甘い状態。青木は「こっちにチャンスが多くくる。練習している形が出せた」と胸を張った。同28分には、再び白石のクロスからFW中村亮太(26)が左足で決めた。

 台風18号の影響で、セットしたボールが動くほどの強風が吹いていた。ゴール裏の芝生席は閉鎖となり、スポンサー看板と横断幕の掲出は全面不可の中、風上に立った前半に2点をリードした。攻守の要となる主将DF尾崎瑛一郎(32)を累積で欠いたが、今季初先発で主将マークを巻いたMF河津良一(25)が、献身的なプレーでチームを支えた。「足を運んでくれた人に、喜びや笑顔を与えられました。これからも勝ち続けたいです」。

 だが、チームに油断はない。元日本代表FW中山雅史(49)は「まだ途中でしょ。これだけで浮かれていてはダメ」。クラブとしては、J2クラブライセンス条件を満たしていないため、優勝やJ2自動昇格圏の2位でも来季はJ3のまま。その状況を踏まえ、吉田謙監督(47)は「J全体でも下位の悪環境の中、選手は反骨心、向上心を持っている。全力で勝ち続けることで、地域の人の心に火をともす」と言葉に力を込めた。【保坂恭子】