セレッソ大阪はヴィッセル神戸を3-1で下し、14大会ぶりの決勝進出。横浜F・マリノスとの決勝は来年元日に埼玉スタジアムで行われる。両チームの決勝での顔合わせはともに前身の日産自動車、ヤンマーだった83年度大会以来34大会ぶりとなる。

 C大阪が120分の激闘を劇的に3-1で制し、ルヴァン杯との2冠に王手をかけた。後半45分に先制されたが、直後のロスタイム1分にMF水沼が同点ゴール。延長に持ち込むと、前半8分にPKのチャンスを得た。途中出場のキッカーFW柿谷は1度はGKに阻まれながら、腰より低い高さのこぼれ球にダイビングヘッドで飛び込んだ。「蹴った瞬間(コースが)ばれてるのが分かった。焦ったけど入って良かった」。執念で勝ち越し点を奪った。

 3位で終えたリーグ戦後、痛めた左足甲の影響で室内での調整が続いた。ボールを蹴り始めたのは約1週間前。それでも尹晶煥監督は「後半、勝負をかける時は(柿谷)曜一朗しかいない」とベンチに入れ、期待通りの結果をもたらした。

 柿谷は、FW杉本とともにけがで準決勝を欠場したMF山口から「負けたら許さんぐらいのプレッシャーをかけられてた」といい、陰のハッパも効いた。前身のヤンマー時代に3度優勝も、C大阪となって過去3戦全敗の天皇杯決勝。柿谷は「しっかり足を治して万全で臨みたい」と決意表明した。今季はルヴァン杯でJリーグ参入23年目で初となるタイトルを獲得。天皇杯も負の歴史に終止符を打つ。【実藤健一】

 ◆83年度大会決勝 前半はお互いに攻めあぐねて0-0。ヤンマーは後半8分、39歳のFW釜本邦茂を投入してゴールを目指すも、日産自動車が同13分にFW柱谷幸一のゴールで先制。同19分にもFW金田喜稔がドリブルで持ち込んで追加点を挙げ、日産自動車が天皇杯初優勝を飾った。ヤンマーの釜本はこの試合が公式戦最後の出場。一方、その後の日産自動車は加茂周監督の下、MF木村和司、FW水沼貴史らを中心に、88-89年に日本リーグ、天皇杯、JSL杯の3冠を達成するなど数多くのタイトルを獲得した。