女子日本代表のエース菊島宙(そら、15)のゴールは生まれなかった。

 埼玉T.Wings(東日本リーグ2位)のメンバーとして初戦の準々決勝、LEO STYLE北九州(西日本リーグ1位)戦にフル出場。柔らかいボールタッチと鋭いドリブルで相手ゴールに迫り、得意の右足を何度も振り抜いたが無得点。チームも0-0からサドンデスPK戦の末、1-0で辛くも準決勝進出を決めた。

 「今日はダメでしたね。(いいプレーの)イメージが浮かばなかったです」。菊島は照れ笑いで試合を振り返った。日本代表として2月24日にさいたま市内でアルゼンチン選抜と対戦。1人で6ゴールを量産して7-3の逆転勝ちの原動力になった。その後、埼玉T.Wingsのチームメートと練習する機会がなく、“代表モード”からの切り替えが不十分だったのも影響した。サドンデスのPK戦でも1人目としてゴール右上隅を強烈に狙ったが、GKの好セーブにネットを揺らせなかった。

 「ブラサカの澤穂希」としてゴールラッシュを続けてきた。昨年5月に日本代表で出場したオーストリアの国際大会では4試合6ゴールで得点王に輝き、日本を初代世界女王に導いた。同7月に決勝が行われた日本選手権では、準優勝に終わったものの6試合10ゴール。女子の競技人口が少なくて単独チームが組織できないため、代表以外では男子チームに加わってプレーしているが、その得点能力は際立っている。

 4日には準決勝、決勝、順位決定戦が予定されている。準決勝の相手はナマーラ北海道(北日本リーグ1位)。「明日は楽しみにしていてください。試合、見てくださいね」。菊島は最後に人なつっこい笑顔でゴールを予告した。【小堀泰男】

 ◆菊島宙(きくしま・そら)2002年(平14)5月23日、東京都青梅市生まれ。小2でサッカー、小4でブラインドサッカーを始める。小6で埼玉T.Wings加入。好きな選手は元なでしこジャパンの原菜摘子。好きな食べ物はシュークリーム。身長153センチ。