ベガルタ仙台MF奥埜博亮(28)が、思いを胸に秘め今日10日のホーム・ヴィッセル神戸戦に挑む。9日、仙台市の紫山サッカー場で最終調整に臨んだ奥埜は、ミニゲームで果敢にシュートを放ち好調をアピールした。明日11日は、東日本大震災から7年を迎える特別な日となる。さらに、昨季はボランチでコンビを組み、今季からライバルとなった盟友の神戸MF三田啓貴(27)との対戦にもなる。クラブ史上初の年間2位をマークした12年以来、6年ぶりとなる開幕3連勝に挑む。

 今季の始動日だった1月9日、チームは仙台市の荒浜にある東日本大震災慰霊碑を訪問した。選手を代表し、献花したのは奥埜。自身も仙台大在学中に、練習後に乗り込んだ車中で被災している。チームメートの家族が津波の犠牲となった。5日間も電気、ガス、水道が使えない環境で共同生活を強いられた。誰よりも強い気持ちを胸に神戸戦に臨む。

 奥埜 サッカーができることに感謝する気持ちで戦いたい。今プレーできてることに幸せを感じて、責任を持ってプレーしたい。毎年気持ちが入るゲーム。自分たちはサッカーしかできないのでしっかり勝って少しでも力になれればと思う。

 昨シーズン終盤からダブルボランチを組んできた三田が神戸に移籍した。東京都世田谷区の実家も近所同士で同じサッカースクールに通った幼なじみでもある。盟友とたもとを分かち、ホームで迎撃する。

 奥埜 サッカー選手だったら移籍もある。一緒に戦ってきた仲間だが負けたくない気持ちはチームのみんなが持っている。苦しい時間帯が多くなると思うが全員で助け合いながら我慢して耐えしのぎたい。タマ(三田)は何事にも動じずにやるタイプだが、熱くなりやすいところもある。そういうところの駆け引きも意識したい。がっつり行きたいと思います。

 昨年は開幕2連勝で臨んだ11日の第3節で神戸に0-2と敗退。6年ぶりとなる開幕3連勝で勢いに乗りたい。

 奥埜 去年は3戦目で神戸に負けてそこから流れが悪くなったので、勝ってチームとして成長した姿を示したい。球際、切り替え、走力といった戦う部分で相手を上回って、勝ちにつなげられればもっともっと上に行けると思うのでしっかりと勝利したい。

 強い思いを胸に、勝利をつかみ取る。【下田雄一】