アルビレックス新潟が徳島ヴォルティスに1-0で勝ち、ホームで今季初勝利を決めた。前半31分にFW河田篤秀(25)が値千金の決勝ゴールを決めた。自身のデンカビッグスワン初ゴールだった。相手にボールを保持される時間帯は多かったが、粘り強く1点を守りきった。貴重な勝利で、順位は10位から6位に浮上した。

 ボールはゆっくり、ゆっくり、インゴールに転がっていった。FW河田の右足シュートだ。0-0の前半31分。ハーフウエーライン付近から、高速ドリブルを仕掛けた。ペナルティーエリア前から放ったシュートは、反応したGKカルバハル(29)の手に触れて、コースを変えた。右ポストに当たったボールはゴール右隅に吸い込まれていった。「何とか入れ、と願ってました」と今季ホーム初勝利の立役者は笑った。

 河田が決めればチームは勝つ。そんな「不敗神話」は生きていた。チームは今季3勝目。河田は今季3点目。3ゴールすべてが勝利に結びついた。第1節アウェー讃岐戦は1-0、第4節アウェー横浜FC戦は3-0だ。そして、今回の3得点目で徳島に1-0。カテゴリーは違うが、J1時代の昨季とゴール数では並んだ。「もっともっと、点を取りたい。毎回、ゴールは狙っている」。そう話した河田は「やる限りは、J2の得点王を狙う」と宣言した。

 1万3576人をのみ込んだスタンドのゴール裏サポーターはこの日、河田の新しいチャント(応援歌)を歌った。河田は「感謝したい、ただ、まだ何を歌っているか、はっきり分からない。知りたい」とチャントの歌詞を気にした。しかし、サポーターと分かち合う「バンザイ」は「テンションが上がる。サポーターの笑顔を何回も見たい」と言った。FWとして得点を積み上げ、歓喜を共有する構えだ。

 持ち味の裏に抜ける動きは、後半になっても衰えなかった。「相手も裏に落とされたら、かなりきついと思う」と、自分の消耗を度外視して相手DFの疲弊を誘った。チームのために献身的に走りながら、ゴールを狙って前を向く。河田は「FWなので点を決めれば、チームは楽になる」とチーム勝利のために、ゴールを量産する決意だった。【涌井幹雄】