数的不利のピンチを乗り越え、敵地で勝ち点1を死守した。北海道コンサドーレ札幌は、ベガルタ仙台に2-2で引き分けた。1-1の後半28分、DFキム・ミンテ(24)が2度目の警告で退場し、10人でプレー。同33分にMFチャナティップ(24)が一時は勝ち越しとなるゴールを決めたが、ロスタイムに追いつかれた。8試合連続負けなしとなり、クラブのJ1最長無敗記録を更新した。

 試合後の札幌イレブンのやりきれない表情が、今季の強さだ。1点リードで迎えたロスタイム。仙台に追いつかれた。ただ、ピッチにいたのは10人。相手より1人少ない状況だったが、最後まで主導権を握り続けた。ミハイロ・ペトロビッチ監督(60)も「(勝ち点を)1ポイント取れた、満足できた試合」と評価した。敵地で、数的不利。状況的には「敗戦を逃れた」で十分な試合を「勝てなかった」と捉えられる選手の姿が、チームの好調さを物語っていた。

 後半28分だった。古巣との一戦だったDFキムが2枚目のイエローカードを受けた。開幕から献身的なプレーを見せてきた不動のCBは、仙台FW石原とのやりとりで気持ちが高ぶり過ぎた。

 それでも「攻撃は最大の防御」を掲げる指揮官の下、試合毎に成長し続ける選手たちは、攻めの姿勢を貫いた。得点源のFW都倉を下げ、手薄となった守備面のカバーを図るためMF早坂が投入されたが、この布陣がはまった。

 キム退場5分後の同33分だ。右から左サイドハーフに変わったMF駒井がボールをキープし、ペナルティーエリア内に進入。パスを受けたMFチャナティップが左足を振り抜き、ゴールネットに突き刺した。一時は勝ち越しとなるゴールに、チャナティップは「点が取れて良かった。(勝てず)惜しかった」とほほ笑んだ。

 アウェーでの5試合連続勝ち点は、クラブ史上初。更新中のJ1無敗記録も8試合連続に伸ばした。次節は中3日でアウェー鳥栖戦。チャナティップは「連戦で疲労感が残っているけど、切り替えて次の試合に向けていかないといけない」と気を引き締めた。堂々とした戦いっぷりに、札幌サポーターの期待値は日増しに高まっている。今節奪った勝ち点1も、胸を張っていい。【保坂果那】

 ▼札幌は仙台と引き分け、J1ではクラブ史上初のアウェー5戦連続負けなしとなった(第2節3△3C大阪、第5節0△0鹿島、第8節2○1柏、第9節0△0浦和、第11節2△2仙台)。J1での対仙台戦は通算2勝1分け4敗となり、過去3戦全敗だったアウェーで初めて勝ち点を獲得した。