FC東京の長谷川健太監督(53)は、10月1日のクラブ創設記念日を前に、創設20周年記念試合と位置付けられた清水エスパルスに完敗し「選手が戦えなかった…監督の自分自身の責任」、「何で、こんな試合になっちゃったのかなと残念で仕方ない」と悔恨の言葉を繰り返し、落胆をあらわにした。

前半こそ一進一退だったが、後半は4対8のシュート数が示すとおり、清水に押し込まれ続け、後半20分にFWドウグラス(30)のミドルシュートをGK林彰洋(31)が弾いたこぼれ球をFW北川航也(22)に押し込まれた。同34分には、カウンターからドウグラスにペナルティーエリア内への進入を許すと、DFチャン・ヒョンスが後ろから倒し、献上したPKを同36分にドウグラスに決められた。試合後は、サポーターから大ブーイングが起きた。

長谷川監督は会見の冒頭で「今日は見に来てくださったサポーターに申し訳なかった」と謝罪。この日、選手は20周年記念ユニホームを着用し、戦ったが結果が出なかったことを踏まえ「20周年記念試合で、レジェンド(クラブOB)もサポーターも来ていて…もっと気持ちを出したかった。前節に比べてボールも動かなかった」と気持ちの面で負けていたことを敗因に挙げた。

後半14分にFWリンスに代え、MF米本拓司(27)を投入した意図も、チームを鼓舞したかったからだと明かした。「米本のように戦う男を入れたが、最後まで戦えなかった」。大阪・伊丹高から2009年(平21)に加入後、クラブ一筋で、度重なる両ひざの大けがを乗り越えて7月18日の柏レイソル戦でJ1通算200試合出場を達成した不屈の男・米本を投入しても立て直せなかったことを、長谷川監督は悔やんだ。

清水に12年4月28日にホームで0-1で敗れて以来リーグ戦で11戦、6年5カ月ぶりに敗れ、泥沼の8戦未勝利となり、4月21日にアウェーで清水に1-0で勝って以来、守り続けたアジア・チャンピオンズリーグ圏内3位を5カ月ぶりに失った。長谷川監督は、今、1番必要なことは? と聞かれると「1人、元気な選手が出てくるか、だと思います。前線の選手が意地でも1点を取る気持ちを見せるとか、ゴール前に頭から突っ込むとか、誰か見せないと全員、しゅんとしてしまう。活きのいい選手が出てこないかな、と」と語った。

質疑応答では、報道陣から「選手がきれいに連携で崩そうとし過ぎ、ゴールへの爆発力がない」との指摘もあった。長谷川監督は「おっしゃるとおりで、今日はきれいに崩そうと選手は頑張ってチャレンジしてくれたと思うが、だからこそ途中から裏への動きが足りない」と認めた。

その一方で「何とかきれいに崩してやろうというのをダメだとすると、モチベーションがなくなる。チームとして乗り越えないと、いつまでも引っかけて速く(攻め返す)というリアクションサッカーになる。しっかり崩していくチームに成熟しないと、優勝できるチームに成長しない。選手はそこにトライしている。いかにクオリティーを上げられるか、だと思っています」とも語った。

長谷川監督は「こんな試合していたら、どこにも勝てない。来週、死に物狂いでトレーニングして、何とか結果を出したい。ベテランでも気持ちが入れば活きがいいし、若手でも活きの悪い選手はいる。こういう状況をチャンスと思って戦う選手が出てきて欲しいし、この1週間でどんな選手が出てくるか楽しみ」と不退転の覚悟を示した。【村上幸将】