サッカー元日本代表でJ3のSC相模原に所属するGK川口能活(43)が4日、現役引退を発表した。

川口がアキレス腱(けん)断裂のけがから復帰を果たした13年に磐田を担当した。新シーズンを迎える前のキャンプで、当時37歳の川口にインタビューをする機会があった。体調管理には人一倍気を使っていたにもかかわらず、何の前触れもなくアキレス腱が切れたことにショックを受け、負傷直後は外出もできないほどふさぎこんだそうだが「時間が解決してくれた。今はサッカーに飢えている新しい自分が芽生えてきてる」と幸せをかみしめていた。

ピッチでは「熱い男」も素顔は天然キャラ。アウェーの移動の電車内で、川口がイヤホンでDVDを鑑賞し始めたが、イヤホンの差し口を間違えたことに気付かず、車内にDVDの音が鳴り響いたことも。チームメートが「能活さん、差し口間違えてます」と指摘した“伝説”もある。

将来ある若手選手が練習後のダウンの規則を破り監督に激高された際は、その若手とともに監督室を訪れ、一緒に頭を下げたこともあった。「サッカー界は噂がすぐ広まる。この失敗でサッカー人生を終わらせるのはもったいない」との気遣いだったことを後に知った。炎の守護神は、心優しい兄貴的存在だった。【岩田千代巳】