世界ランク9位の日本が同2位のアルゼンチンに1-3で逆転負けした。

前半3分に川村怜主将(29=Avanzareつくば)のゴールで先制したが、同19分に追いつかれ、後半にも2失点で逆転負け。リオデジャネイロ・パラリンピック銅メダルで今年6月の世界選手権準優勝の強豪からの初勝利はならなかった。

待望の初ゴールだった。前半3分。川村が相手DFをかわし、ゴール前でフリーになった。得意の左足シュートはGKに弾かれたが、こぼれ球に今度は右足を合わせる。間髪入れずに打った二の矢がGKの股間を抜けてネットを揺らした。アルゼンチンとはこの試合まで1分け3敗。今年8月の南米遠征では0-0で引き分けたが、4試合とも完封されていた。

「1点リードできた。ゴールをこじ開けられたことはポジティブに考えたい」と川村。先制点で序盤は日本の流れになった。個人技と体力で上回るアルゼンチンに組織で対抗し、前からのプレスで自軍ゴール前の決定的なボールを入れさせない。逆にボールを持てば横へ体を逃がす動きで相手のプレスを外し、ピッチ上クロスするようにボールを運んで攻撃を組み立てた。川村、黒田智成(40=たまハッサーズ)に何度もシュートチャンスがあったが、追加点が奪えなかった。

高田敏志監督(51)は「前半に追いつかれなければ、違った展開になっていた」。前半終了まであと1分の19分。リードしたまま折り返す意識から、選手たちのポジションが引き気味になったところを突かれ、ゴール前の混戦から同にされた。後半はボールをつなぐより、前へ速い攻めを徹底してきたアルゼンチンに押されて2点を失った。

8月の対戦では0封したものの、攻撃がまったく形にならなかった。「前回に比べたらボールを前に運べるようになった。個人では圧倒的な差があるが、それにグループで対抗していくことはできつつある」と高田監督。川村も「意図的な攻撃、ビルドアップはできた。成長できた感覚を持っている」。今年最後の代表戦でスコアには表れない収穫はあった。

日本は昨年12月のアジア選手権で5位に沈み、今年の世界選手権に出場できなかった。しかし、南米遠征ではリオの王者で世界選手権を制したブラジルとも引き分けた。5月のベルギー遠征ではリオ銀メダルのイランを破っている。「相手を分析し、プランを立てて、それをしっかり実行できれば強豪とも十分戦える」。20年東京へ、高田ジャパンは進化を続ける。