帝京長岡(新潟)は旭川実(北海道)にPK戦にもつれ込む激戦を制した。2-2同点から、大会新記録となるPK17-16で勝った。0-1で迎えた前半29分にはFW晴山岬(2年)がゴールを決めて、1回戦のハットトリックに次ぐ2試合連続ゴール。MF谷内田哲平(2年)のスルーパスに反応した。この日のヒーローの座はGK猪越優惟(2年)に明け渡したが、大会4ゴールで晴山は乗っている。

FW晴山が相手DFラインとの駆け引きに勝った。0-1で迎えた前半29分のゴールシーン。MF谷内田のスルーパスに反応して、裏に飛び出した。「抜けた時点でもう、決まったなと思った」。GKと1対1のシーンも、頭の中は冷静だった。「ニアに蹴ろうと思ったけれど、キーパーの重心が内側に入っていたので瞬時に変えた」。右足で蹴ったシュートは右サイドネットに飛び込んだ。

1回戦の高知西戦で決めたハットトリックに次いで2試合連続の4点目。谷内田とのコンビで挙げた得点も2点目だ。晴山は「アイツはいつも真っ先に自分を見てくれる。いい動きをして、どれだけいいボールを引き出せるかが自分の役目」と言う。ともに幼稚園年代から長岡JY・U-6で一緒にサッカーをやっていた仲間だけに、あうんの呼吸。「大きい舞台で連係が通用している。これからも2人で点を取っていきたい」と話した。

2-2からのPK戦は、大会新記録の壮絶な戦いになったが、17-16の勝利。実は、晴山はPK戦には直接参加できなかった。後半ロスタイムにMF礒貝飛那大(ひなた=3年)と途中交代。しかし、ベンチの声で参戦した。GK猪越を「オマエは(GK)ノイヤー(32=ドイツ代表)だ!」と声で励まし続けた。「このチームは何かがある。勝ち続けなければいけない」とベンチで、手に汗握るPK戦を目撃した晴山は言った。

「献身的に前線からボールに触っている。落ち着いて決めている」と古沢徹監督(33)は晴山を評した。大舞台で冷静にゴールを量産する点取り屋は、大舞台に強い。昨夏の国際ユースサッカーin新潟では新潟県選抜メンバーとしてU-17クロアチア戦で2得点だ。「今、厳しいゲームに勝ち切る勢いがある。続けたい」。晴山は、ゴールを量産してチームの勢いを加速させる決意だった。【涌井幹雄】