元スペイン代表で鳥栖FWフェルナンド・トーレス(35)が23日、都内で現役引退を発表した。海外メディアも含め70社、約150人の報道陣が駆けつけた。8月23日に代表でともに戦ったMFイニエスタ、FWビジャが所属する神戸戦(佐賀・駅スタ)を最後にユニホームを脱ぐ。

トーレスは鳥栖と今季までの契約ながら、来季も1年のオプション契約が残っていた。シーズン途中で契約を解除しての引退に「常に高いレベルを求めてやってきた中で、求めているレベルに達していない」と明かした。今後は鳥栖のアドバイザーに就任し、スペインと日本を行き来し、クラブの改革やユース年代の育成に携わる予定だ。

01年にAマドリードでプロ生活をスタートさせ、リバプール、チェルシー、ACミランとビッグクラブを渡り歩いた。スペイン代表としても2度の欧州選手権優勝、10年W杯南アフリカ大会での初優勝に貢献し「代表で歴史を変えられたのは誇り」と胸を張った。

昨夏に鳥栖に加入したが昨季は残留争い、今季も最下位に低迷。トーレスも今季は11試合(出場時間543分)で無得点だった。「精神的にも身体的にもピークのレベルには到達できない。クラブが首位を走っていたとしても決断は変わらない」と強調し、「鳥栖が一番難しい挑戦だったが、この挑戦をできたことをうれしく思う」と話した。

日本での思い出としては、昨年11月24日に残留を決めた横浜戦での得点を挙げる。今季の苦境に「去年の残留の大きな要因はグループで戦うことができたから。今年はそこも変わらない。みんなで組織として最後まで戦うことが重要」と前を向いた。【岩田千代巳】