横浜F・マリノスは23日、東京五輪世代のU-22日本代表GKオビ・パウエルオビンナ(流通経大4年)がJFA・Jリーグ特別指定選手に認定されたことを発表し、同日に横浜市内で加入会見を行った。

横浜は22日にオビの来季からの加入内定を発表していた。会見にはオビ本人と流通経大サッカー部の中野雄二監督、横浜の小倉勉スポーティング・ダイレクター(SD)が出席。オビは周囲のサポートに感謝しつつ「まだまだ未熟な部分はありますが、横浜F・マリノスのために全身全霊でプレーするので、よろしくお願いいたします。見ている人が興奮するようなサッカー選手になりたいなと思います」と抱負を語った。

ナイジェリア人の父と日本人の母を持つハーフで、身長193センチの体格と足元の技術も併せ持つオビにはJリーグの複数クラブがオファーしていた。横浜への加入を決断した理由のひとつには、ポステコグルー監督のもとで取り組むパスサッカーに魅力を感じたことを挙げ「今後の選手としての価値だったり、サッカー理解がまたひとつ上のレベルにいけると思い、ぜひこのチームでプレーしたいと思った」と語った。練習参加を通じて「こういう練習をしているからこういうサッカーがあるんだ」という気づきもあったと話し、「攻撃的なサッカーで、他チームよりもGKが攻撃の起点になることが求められる。見ていてわくわくし、非常に(プレーが)楽しいと感じています」と話した。

今後は同大サッカー部に籍は残すが、基本的には横浜の練習に参加しながら活動していくという。小倉SDは「もちろん大学の試合もあるので、そこは相談しながらやっていこうかなと思います。もちろん今季内の戦力として考えていますし、(ポステコグルー)監督もトゥーロンの試合から(オビのプレーを)見ている。チャンスがあれば試合でプレーしてもらいたいと考えています」と話した。

現在、横浜は正GKの朴一圭が負傷離脱中のほか、9月14日のサンフレッチェ広島戦では今季途中に広島から加入したGK中林洋次が契約によって出場できない。よって、同試合でオビがメンバー入りを果たす可能性も高くなっている。中野監督はオビの人柄について「彼は今まで預かった選手の中でも、一番優しさもあるし、真面目です」といい、選手としての魅力については「運動能力はものすごいものを持っています」と話した。部内の長距離走ではフィールドプレーヤーを差し置いて先頭を走っているというエピソードも明かし「GKですが、ものすごくバネのある素晴らしいフォームで走る。その(ポテンシャルの)全てをアスリートとして結びつけられれば、日本代表のGKになってもいいと思う」と話した。

これには小倉SDも同調し「彼は大柄な体格だけじゃなくて、スピードもある」とその才能を語った。その上で「感覚的な部分ですが、最初にお会いさせていただいた時の目の輝き。こういう選手は必ず成功していくのかなと思った」と話した。

かつて横浜からは現在トップチームのGKコーチを務める松永成立氏をはじめ、川口能活ら多くのGKが日の丸を背負って守護神として活躍してきた。オビもそうしたクラブの歴史も決断理由のひとつになったと明かし「今までのマリノスのGKを見て、この人たちがここから出たということには意味がある」と話した。まずは来年にせまる東京五輪、そしてW杯出場。大きな夢を抱き、若き守護神が横浜からの飛躍を誓った。