横浜F・マリノスが松本山雅を1-0で下し、9戦負けなしの5連勝で東京をかわし、今季初めて首位に立った。次節、横浜が勝ち東京が負けると、15年ぶりの優勝が決まる。FW仲川輝人(27)が前半2分に相手DF6人をドリブルで翻弄(ほんろう)しながら左足でネットを揺らして先制。この1点を守りきった。3位以内が確定し来季、6年ぶり4度目となるアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)出場権も獲得。ここ5戦4発の“ハマのスピードスター”がチームに勢いを与え、頂点へと突き進む。試合のなかった川崎Fのリーグ3連覇の可能性がなくなった。

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横浜を首位へ押し上げるゴールを決めたのは、やはりこの男だった。FW仲川が得点ランキング2位タイ、トップに1差の今季14点目でチームを勝利に導いた。試合開始早々の前半2分、右サイドでボールを受けると、奪いにきたDF2人を華麗にかわし、ゴール前へカットイン。キックフェイントでさらに2人をかわし、鋭く左足を振った。ボールはブロックに入ったDF2人の体をかすめ、ゴール左隅に突き刺さった。

「最近は早い時間に得点が入ってきているので、それもあってシュートを選択した。マルコス(・ジュニオール)とエリキが動きだしてくれて、うまく相手を見ながらかわせた」と胸を張った。前節もチームの先制は開始2分。約50メートルを独走して決めた前節札幌戦に続く衝撃弾。ここ5戦4発と好調マリノスの原動力。自然と笑みがこぼれた。

利き足ではない左足での1発を地道に形としてきた。現体制では右ウイングを任され、昨季から縦への突破だけでなく、内側へカットインからの左足でのフィニッシュを継続して練習してきた。

今季14得点中、左足でのゴールは6得点。50メートル5秒台の快足に加え、右に左に自在に進行方向を変えながらシュートを狙えるドリブルと決定力はリーグ屈指で、いまだ経験のない日本代表招集にも期待がかかる。仲川の活躍に後押しされるように、チームも公式戦では9月25日の天皇杯4回戦鹿島戦から、約2カ月負けなし。気づけば今季初めて首位に立ち、次節の結果次第では優勝が決まる可能性も出てきた。仲川は「残り2試合も勝つ。それしかないです」。15年ぶりの栄冠へ。今の仲川は誰にも止められない。【松尾幸之介】

◆J1優勝争い 残り2節で今季初めて首位に立った横浜は次節(30日)にも優勝の可能性がある。横浜が川崎Fに勝ち、2位東京が浦和に負けると、横浜の15年ぶり4度目のリーグ優勝が決まる。それ以外は最終節(12月7日)に持ち越しとなり、横浜と東京が直接対決する。また、この日試合がなかった4位川崎Fのリーグ3連覇の可能性がなくなり、優勝争いは3位鹿島までの上位3チームに絞られた。