今季限りでアルビレックス新潟を退団するGK野沢洋輔(40)とFW矢野貴章(35)が、V・ファーレン長崎戦の後半に途中出場して、1万6814人のホームのサポーターを沸かせた。野沢は後半のロスタイムからピッチに立ち最終戦を締め、矢野は後半31分から登場し、持ち味の運動量を見せた。2-1で最終戦に勝ち、17勝11分け14敗の勝ち点62、10位で19年シーズンを終えた。

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観客席は見ないようにした。「目に入ったら込み上げてくるので」。涙を懸命にこらえ、矢野は試合後、サポーターにあいさつをした。「(応援歌の歌詞の)『オメ、キメレ、キショウ』が体を動かしてくれました」「新潟で過ごしていたことを一生忘れません」。何度も言葉に詰まりながらもサポーターへの感謝を言葉にした。

後半31分から右サイドハーフに入った。縦パスに反応し前線へ走り、サイドライン際の守備では相手と体をぶつけた。後半44分には渡辺新のパスからシュートを狙った。相手GKにセーブされたが、自分に点を取らせようと仲間がボールを集めてくれた。「うれしかった。だから決めたかった。逆にそのせいでバランスを崩して失点してしまったかも」。フォア・ザ・チームに徹する男らしく最後まで仲間を気遣った。

06年の柏レイソルから移籍加入に始まり、2度の復帰と3度新潟に入団した。「生活するほど好きになる」(矢野)新潟の街と、これが3度目の別れ。「これからも現役続ける。どこにいてもアルビを応援している」。熱い思いを持ち続けることを誓ってビッグスワンを後にした。【斎藤慎一郎】