首位に立つ横浜F・マリノスのFW仲川輝人(27)が下部組織時代を過ごした川崎フロンターレを倒してのJ1制覇に照準を定めた。

30日のアウェー川崎F戦に勝ち、2位FC東京が敗れれば、15年ぶりの優勝が決まる。仲川は左右を刈り上げたニューヘアで横浜市内で行われた前日練習に姿をみせ、約1時間調整。出場4試合連続ゴール中とチームをけん引する“ハマのスピードスター”が横浜に栄冠をもたらす。

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両サイドを鋭く刈り上げ、仲川が横浜を令和初王者へ導く。昨季王者川崎F戦を前日に控え、ミニゲームなどで約1時間調整。勝てば優勝が決まる可能性のある大一番へ向け「強い相手というのはわかっている。川崎を越えなきゃ王者にはなれない」と力を込めた。

運命の神奈川ダービーになる。川崎市出身で、高校時代まで川崎Fの下部組織で育った。13年に横浜が最終節で勝てば優勝の一戦は今回と同じ等々力陸上競技場での川崎F戦。当時、専大サッカー部3年だった仲川は、獲得に乗り出していた横浜に誘われスタンド観戦。そこで敗れてV逸した横浜の選手を目の当たりにし「サッカーって難しいんだなと思った」。その光景を目に焼き付けた。

決意の思いは見た目にも込めた。「短くします」と宣言していた髪形は27日にトレードマークのモヒカンヘアに整えた。昨年のルヴァン杯決勝前にも散髪し、こめかみ部分を赤、白、青のトリコロールカラーに染めたが、湘南に敗れてV逸。「あれはちょっとやりすぎたかもしれない。色はもうしない。大体負けてるから」。苦笑い交じりに振り返り、今回は金とも銀とも言える単色でそろえた。

今季はここまで得点ランク2位タイとなる14得点を挙げ、首位横浜の攻撃をけん引する。大学4年に右膝前十字靱帯(じんたい)断裂などの大けがを負っても獲得してくれた横浜への恩は人一倍強く「マリノスへの一番の恩返しは優勝だと思う。それを自分の力で成し遂げたい」。令和J1初ゴールを決めた男が、横浜に15年ぶりのタイトルをもたらす。【松尾幸之介】

◆横浜の優勝決定条件 首位の横浜は30日の第33節で川崎Fを破り、2位の東京が浦和に負けると、横浜の15年ぶり4度目のリーグ優勝が決まる。それ以外は最終節(12月7日)に持ち越しとなるが、そこで横浜と東京が直接対決する。3位の鹿島まで優勝の可能性は残っているものの、第33節で横浜か東京のどちらか一方が勝った時点で鹿島の優勝はなくなる。