セレッソ大阪がホーム最終戦を清水エスパルスに逆転勝ちで飾った。

0-1の後半30分にMF水沼宏太(29)がミドル弾。34分にはFW柿谷曜一朗(29)が芸術的なゴールで決勝点を挙げた。チームひと筋15年のDF藤本康太(33)の引退試合で「(藤本)康太のために」でひとつになった劇的勝利。5位以上が確定し、7日の最終節大分戦(アウェー)でACLの可能性も残す4位浮上を狙う。G大阪は4-1で松本に大勝。17位磐田、18位松本のJ2降格が決まった。

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ただ、「勝つんや」という執念だった。1-1の後半34分、ショートコーナーからMF田中がゴール前に入れたボールに柿谷は全身で反応。オーバーヘッドシュートのような形で反転し、つま先に引っかけて決勝ゴールを奪った。「勝つことだけ考えていた。結果として良かった」と言った。

C大阪ひと筋15年のDF藤本の引退試合だった。今季も7月に左膝、9月に頭蓋骨骨折と大けがを重ね、プレーできる状態になく「(ベンチ入りを)断ったけど、チームみんなが動いてくれて」。0-1のハーフタイム、引き揚げる時に柿谷は藤本に言った。「大丈夫。俺に任せとけ」。宣言通りの決勝弾に藤本は「あいつのゴールで泣いてしまったから、最後の(セレモニーの)スピーチで涙が出なかった」と笑った。

藤本の存在が士気を高めた。柿谷は7年前と重ねていた。「同点で終わるのだけはイヤやった。(12年6月に)キヨ(清武)をここで送り出す時も同点で終わった。それとかぶったけど、チームみんなで送りだそうと。(藤本)康太くんのおかげかなと思う」。

鹿島が3位となり天皇杯を制すれば、4位にACLプレーオフ出場権が転がり込む。最終節で4位の可能性をつないだ勝利。「康太のために」で結束した“ONE TEAM”がもたらした。【実藤健一】