ベガルタ仙台は今季最終戦を白星で飾れなかった。アウェーでサンフレッチェ広島に0-1の敗戦。終始、相手の猛攻を受けながらも守備陣が踏ん張ったが、後半33分に失点し力尽きた。これで最終節は8年連続黒星となり、11位で今季を終えた。

チームを10年連続の残留に導いた渡辺晋監督(46)の去就も現時点で決まっておらず、さらに、リーグトップの10アシストを誇るDF永戸勝也(24)の移籍が決定的に。同時に、広島DF吉野恭平(25)の新加入が濃厚になったことも明らかになった。

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シュート4本に抑えられ、なかなかチャンスをつくれなかった。さらに広島にボールを持たれ、4倍以上のシュート18本を浴び、後半33分に屈した。渡辺監督は「我々が守備の時間が長くなるのは想定内でしたし、前節の大分トリニータ戦同様にトレーニング含めて整理をしてきたが、なかなか奪った後の精度だったりパワーが足りなかった。そこで後手をふみ続けたのは残念」と、試合を総括した。

今季は開幕5戦勝ちなしから始まり、一時は最下位に低迷した。こだわって準備してきた3バックから4バックへ変更し、シーズン途中で、もはや「残留」を目標にせざるを得なくなった。「選手たちに、『今までベガルタが積み上げてきたボールを動かして、相手も動かしてというサッカーを取り組んでスタートしたはずだったが、それをやり切れなくて申し訳ない。そこにみんなを引き上げられなかったのは、俺の力不足だった』と伝えました」と明かした。

自分たち主導の理想を捨て、残留へ確実な道を選んだ。それでも「今年の選手たちは守備の細かなポジショニング、泥くさくやる、ハードワークなどサッカーの原点につながるような部分は身につけることができたと思う」と、最後まで選手をねぎらった。

菊池秀逸社長は試合後、渡辺監督の去就について「シーズンが終わったばかりなので、これから打ち合わせして決めます」と話し、来季チーム構想は白紙の状況だ。それでも高卒ルーキーのMF田中渉(19)がこの日リーグ初出場初先発を果たすなど、若手の台頭もあった。12年の2位以来となる1桁順位へ、今季の悔しさは糧としなければならない。【山田愛斗】