四日市中央工(三重)が相手のお株を奪う「分析PK」で日章学園(宮崎)を下した。

3-3のままPK戦もちらついてきた後半ロスタイム。日章学園は2回戦の市船橋戦でも1人を止めて優勝候補撃破の立役者となったPK専属の2年生GK清原寛斗を投入してきた。迎えたPK戦。3人目までを終え、清原に2人目のDF鐘ヶ江秀太(3年)が止められ、日章学園は全員が成功。それでも、四日市中央工のGK有留奎斗(3年)は粘りをみせ、日章学園の4人目、5人目を連続ストップさせた。清原相手に失敗を1度に抑えた味方の踏ん張りもあり、勝利をたぐり寄せた。

手に汗握るPK戦の裏には、四日市中央工のスタッフによる綿密な分析があった。GKコーチらが市船橋戦のPK戦映像を確認し、日章学園の選手のシュートモーションなどを分析。日章学園が市船橋とのPK戦と同じ選手を5人並べた幸運もあり、動き方などで蹴る方向を予測。ベンチから有留にサインを送り、4、5人目のセーブにつなげた。

伊室陽介監督は「全てサインの通りに蹴ってきた。(就任1年目で)優秀なスタッフが背中を押してくれる結果でもある。少しずつ成長できているのかな」と振り返った。

目指すのは帝京と両校優勝となった91年度を越える単独優勝のみ。背番号10を背負い、主将としてもチームをけん引するMF森夢真(ゆま=3年)は「みんなにはPK戦も楽しもうと声をかけている。自分がプレーで引っ張って、四中工の悲願である単独優勝を成し遂げたい」と力を込めた。