J2町田ゼルビアが13日、東京・町田市で今季の練習を始動した。11年以来、9年ぶりに復帰したポポビッチ新監督(52)のもと、パス回しなど約2時間の練習で汗を流した。クラブは昨季にJ1昇格に必要な「J1クラブライセンス」を取得。スタジアムの収容人数を増やす改築工事なども順調に進む中、悲願達成へ向けたシーズンのスタートを切った。

新加入選手9人を含めた全員がそろった練習では、初日からポポビッチ監督が熱血指導を開始。ランニングなど軽めのメニューで体をならすと、ピッチの3分の1ほどを使ったパス回しでは、味方のサポートやポジショニング、サイドチェンジの意識などを身ぶり手ぶりを使いながら指導した。かつて大分トリニータやFC東京などでも指揮を執り、取材陣には「元気?」と日本語で語りかけるJリーグ経験も豊富な指揮官。練習後には「全体的にオフ明けにしてはボールがよく足についていたと思う。日本人はテクニックがあり、アジリティーも高い。そうした部分を見せてくれた」と満足げな表情をみせた。

大分時代の09年に指揮官に指導を受けた経験のあるMF井上裕大(30)は「熱い監督だし、チームを引き締めてくれると思う。また去年とは違ったサッカーになる」と話した。FW中島裕希(35)も「練習は、やわらかい感じではなく、張り詰めた感じ。今年はやらないといけないという雰囲気でやれたと思う」と振り返った。

クラブは19年秋にJ1昇格に必要な「J1クラブライセンス」を取得。悲願のJ1昇格へ向け、サポーターの期待も高まっている。ポポビッチ監督が初めて指揮を執った11年はJFL3位となり、クラブ史上初のJ2へ昇格した。この日は祝日が重なったこともあり、練習場の上の原グラウンドには例年の約5倍という約250人のサポーターが集結。柵には「2011-2020 ポポビッチゼルビア 新たな歴史を共に刻もう」と書かれた横断幕が掲出され、セルビア語のチャントも響き渡った。

ポポビッチ監督は「たくさんの方に来ていただいて驚いている。常に温かい声援をいただけることは以前と変わらない。結果を出せるように頑張っていきたい」と笑顔を見せた。今季は広島からベテランDF水本裕貴(34)や湘南のGK秋元陽太(32)ら経験ある選手を獲得したほか、本年度の全国高校サッカー選手権で4強入りした帝京長岡からFW晴山岬(18)ら若手も多く獲得。指揮官と同じセルビア人のFWマソビッチ(25)とステファン(29)の両ストライカーも加入するなど、補強も充実している。背番号10を背負う平戸太貴(22)は「年下の選手も増えましたし、ベテラン選手も入ってきた。非常に楽しみですし、自分も背番号にふさわしいプレーをしたい」と意気込んだ。【松尾幸之介】